日産を支えた主力エンジン「L型」を振り返る
国産車のエンジンのなかでも、日産のL型エンジンほど汎用性の高いエンジンは他にない。1965年にデビューしたセドリック スペシャル6に搭載されたL20型(2L直列6気筒OHC 115ps)が最初のL型で、1.3L4気筒の「L13」から2.8L6気筒の「L28」まで非常に多くのバリエーションがあるエンジンだった。 L型エンジンのルーツは、メルセデス・ベンツの直列6気筒エンジンをコピーしたのは有名な話だ。カウンターフローのSOHC、頑丈な鋳鉄ブロック、チェーンによるカムシャフト駆動など、耐久性重視の設計で後継のRBシリーズにバトンタッチするまでの約20年、日産の代表的なエンジンとして多くのクルマに搭載された。そんなL型搭載車の主だった車種を振り返ってみよう。
ブルーバード(510)
1970年のサファリラリーで総合優勝したブルーバード1600SSSに積まれていたのが、4気筒のL16エンジンだった。スーパーソニックラインと呼ばれた完成されたボディラインが特徴で、SSS=スーパー・スポーツ・セダンに積まれたL16は、SUツインキャブで100psという高出力。 サスペンションはBMWに倣ったフロント・ストラット、リヤ・セミトレーリングアーム式の四輪独立懸架。サーボアシスト付のフロントディスクブレーキも大きな武器だった。
フェアレディZ(S30)
L型エンジンのスポーツカーといえば、なんといってもフェアレディZ。 初代のS30の国内仕様には、SUキャブを装着した6気筒のL20が選ばれ、パワーは130ps(有鉛ハイオク仕様)。輸出仕様は150psのL24で憧れの的だったが、1971年に国内でも2.4Lになった240Zが発売される。240ZのL24は、4気筒のL16とボア・ストロークが同じだった。
この大排気量は問答無用の魅力で、チューニング界では3Lや3.1Lとさらにボアアップされ、最速のエンジンのひとつとなった。
谷田部ではじめて300km/hの壁を越えた、光永パンテーラの307.69km/hの記録を塗り替えた最初の国産チューニングカーのトライアルZも、L28改の3Lツインターボ(ギャレットTo4タービン×2 OERキャブ)という仕様で、307.95km/hを記録した。