「クルマの高さ」へのこだわりはマネーどころのレベルではない
クルマのカスタム用語には、独特な言いまわしや俗語、特定のジャンルでしか通用しないような言葉が数々ある。例えば、シャコタンや鬼キャン、イカリングに顔面移植など、知らない人にとってはまったく意味不明なワードも多い。ここでは、そういったワードの中でもとくに「車高」に関連する表現をいくつか紹介しよう。
●シャコタン
シャコタンは、「車高短」をカタカナ表記したもので、クルマの車高を下げる(ローダウンを行うこと)や、車高を下げたクルマ自体を指す言葉だ。車高を下げることを「シャコタンにする」、車高を下げたクルマのことを「あのシャコタンはかっこいいね」などの使い方が一般的だ。 とくにシャコタンという言葉は、かなり車高を下げた状態を意味する場合が多い。例えば路面の段差などにボディが当たった車高が低いクルマを見て「あのクルマはかなりシャコタンにしているね」とか、「あのシャコタン(のクルマ)は車高を下げすぎじゃない?」などと使う。
ある知人は、この言葉を聞いて「あ~、北海道の! 」と答えた。だが、クルマのカスタムで使う場合は、「積丹(しゃこたん)」ではないので念のため。
●車高調=「シャコチョウ」
シャコタンとよくセットで使われるのが「車高調」だ。この言葉は「車高調整式サスペンション」を縮めた表現で、文字通りクルマの車高を調整できるというもの。ユニットの全長を変えられる全長調整式、ショック本体の溝にC型のリングをはめ込んでロワシートの位置を決めるCリング式、ロワシート部を上下に移動させ車高を調整するネジ式など、さまざまなタイプがある。
車高調整には、ほかにも短いスプリングに変えて車高を下げる「ダウンサス」などもある。スプリングだけを変える場合がほとんどのため、本来は「ダウンスプリング」とか、「ショートスプリング」といったほうが正解。だが、なぜかサスという言葉が使われているのも、カスタム用語の独特なところだ。
なお、発音は「しゃこちょう」と、車高の「う」は発音しないのが一般的。言いやすく覚えやすい発音であることもあり、カスタム界ではかなり認知度が高い用語だ。
●鬼キャン
鬼嫁や鬼教師、最近では「鬼滅の刃」といった人気アニメもあるが、クルマの場合は、タイヤ&ホイールのキャンバー角をマイナス方向へ傾け、タイヤの下部が車体から大きくはみ出したようなカスタムを指す。 由来は定かではないが、恐らくマイナス方向のキャンバー角が大きいことを、大げさに表現したのが始まりではなかろうか。程度や勢いがすさまじいことをよく「鬼のように」というが、これとマイナス方向のキャンバー角が大きいことが組み合わさって「鬼のようなキャンバー角」と表現したのが流行し、短くなったのだと思われる。
キャンバー角を付ける技法は、本来、レーシングカーなどがコーナリング性能を高めるために生まれたもの。鬼キャンはそれを流用し、カスタムの世界で主にクルマを低くしてかっこよく見せるために用いられる。
●スラムド
「スラムド」は、シャコタンを英語圏で表現するときに使う言葉で、国内ではアメリカンカスタム好きなどが、日本的なカスタムと差別化するために好んで使う。
語源は「Slammed」で、叩きつけるなどの意味を持つ。車体が地面に叩きつけられ、まるで着地しているように低い、もしくは実際に着地してしまっている、といった意味合いもある。 これは、車高を下げる手法が独特のためだ。前述した車高調の場合もあるが、エアバッグ内の空気を出し入れし車高を調整する「エアサス(エアサスペンション)」や、油圧でサスユニットを上下する「ハイドリクス」などを使うことも多い。走行時は車高を上げ、停車時に車高を極限まで下げることも可能なこれら装置を使うことで、まさに車体を着地状態にまで低くできるのだ。
なお、海外の危ない地域のことを「スラム街」などというが、語源的にはあまり関連性はないと思われる。ただし、アメリカの黒人やヒスパニック系で、そのような街に住んでいる層が、エアサスやハイドロリクスで車高を下げるカスタムを好む傾向にあることは確かだ。