ナスカーの聖地「シャーロット」の会戦
アメリカの人気自動車レース「NASCAR(ナスカー)」。もっとも有名な「カップ」シリーズ以外にも、「Xfinity(エクスフィニティ)」、「Camping World Truck(トラック)」というシリーズも開催され、カップと合わせ3大カテゴリーと呼ばれている。
このトラックシリーズに、自らドライバーとしてだけでなくチームオーナーとしても長年参戦し、2018年にチームオーナーとしてタイトル獲得の経験を持つのが、服部茂章代表が率いるHATTORI RACING ENTERPRISES(HRE)である。服部代表は、ナスカー界では唯一の日本人オーナーである。そのHREチームは今シーズンも若手ドライバー、オースティン・ヒル選手を起用しゼッケン16を付けたトヨタ・タンドラでそのトラックシリーズに挑戦を続けている。
HREの16号車は今シーズンは未勝利。そろそろ優勝という結果が欲しいところだが、着々とプレイオフに向けたポイントを獲得している。そして迎えたトラックシリーズ第10戦となる「North Carolina Education Lottery 200」。HREチームの本拠地であることはもちろん、多くのチームが拠点を構え、もちろん、ナスカーの協会本部や関連団体、ミュージアムなどもある、ノースカロライナ、シャーロットにあるシャーロット・モーター・スピードウェイで開催された。
高速オーバルコースを攻略せよ!
シャーロットは、1周1.5マイル(約2.4km)のクアッド・オーバル。ターンには最大24度 、ストレートにも5度のバンクが付く高速オーバルコースである。今回も練習(フリー)走行、そして予選を走ることができる通常のレースフォーマットで進行するこの第10戦に、HREは今回もUNITEDレンタルのカラーリングを施した「#16 United Rentals TOYOTA TUNDRA」を持ち込んだ。
5月28日の1日で開催となるこの第10戦は、午後にまずフリー走行が行われ、チームは、ピットインを繰り返しながら16号車のセッティングを詰めていく。最終的には30秒391のトップタイムをマーク。そして午後6時35分からの予選を待つものの、直前に雨が降り出してしまい予選セッションは中止。決勝グリッドはシリーズランキングからの抽選によりヒル選手は3番グリッドからのスタートとなった。
第1ステージは4位フィニッシュのヒル選手
午後8時半、コースを30周ずつの第1、第2ステージ、そして74周の第3ステージからなる134周で争われる決勝レースはスタートした。直後に2番手にポジションを上げたヒル選手は、4台でのトップグループを形成しながらトップを追う展開となり、第1ステージは4位でフィニッシュ。このステージブレイクでは給油と4本のタイヤ交換、セッティング変更を行い、4番手から第2ステージをスタート。
69周目、最終ステージのグリーンフラッグと同時にヒル選手は見事なスタート。7台を抜き5番手に順位を上げ、トップと変わらないラップタイムで走行を続けていく。チームは給油のタイミングをギリギリまで遅らせ、101周目にヒル選手にピットインを指示。給油とタイヤ交換を的確にこなし、2番手でコースに復帰させた。
粘り強い戦いで次戦に望みを託す
HREクルーチーフのスコットは無線でヒル選手からマシンの状態を確認して、ピットに戻すことを止め、優勝の可能性を考え、残り周回を走り切る選択を下す。レースは残り10周、今季初優勝を賭けたリスタートを最前列アウト側から迎えたオースティンは果敢にトップに出ようと試みるが、ダメージを負ったマシンはスピードが伸びず、一気に後続に飲み込まれてしまう。その後チェッカーまでオースティンは後続車の攻めに耐え続ける苦しい展開。何とか抑えきり9位でフィニッシュした。