第2位 RX-8
現状、ロータリーエンジン搭載の最終モデルにあたる。動力性能を前面に押し出した性能本位のスポーツカーではないが、滑らかなエンジンフィール、十分以上のパワー感、優れたシャーシ性能と、走る、曲がる、止まるの動きに対し、すべてにおいて完成度の高さを感じさせる車両として2位にランクした。 搭載エンジンの13B型は自然吸気仕様ながら250psを発生。40年近い歳月を積み重ねて熟成されたロータリーテクノロジー「RENESIS」による13B-MSP型は、ひと昔前ならターボ過給に頼らなければ得られない出力値を実現した。だからといってピーキーなわけではなく、実用域のトルク特性も十分。むしろ、居住性も確保した4シーター4ドアクーペとして、エンジン性能、シャーシ性能を高次元でバランスした究極のロータリー搭載車と言うべきなのかもしれない。本来なら1位にランクすべきなのかも……、と最後まで迷ったモデルだ。
第1位 RX-7(FD3S)
最後までRX-8と争ったが、やはりロータリーの真髄は軽量コンパクトでパワフルなことだと考え、やはりロータリーエンジンにもっともふさわしい車両はスポーツカーという割り切り方で、ロータリー史上究極の走りを示したRX-7の最終型、FD3Sを1位とした。 デビュー直後のFD3Sはエンジンが強力で、とにかくフラットな路面(とくにサーキット)では抜群に速いシャーシセッティングだったが、ワンダリング性能が悪く微舵応答も神経質と、一般路をまともに走れないようなクルマだった。もちろん、こうしたあたりはその後改善されたが、あくまで本質は走りの性能。13B型ターボは最終仕様で280psを発生。この時代、280psはメーカーの自主規制値だったが、実用性を確保した上での350psも十分可能と言われたエンジンで、クルマが持つベクトルはすべて走りに集約されていた。アクセルを踏み込んでいったとき車内で聞くエンジン音は、その回転上昇の速さと共に、ドライバーにクルマを速く走らせている、という興奮と刺激を与えてくれた。総合的なクルマの用途では決して使い勝手に優れたクルマではなかったが、とにかくクルマを速く走らせる、あるいは速さこそクルマの価値すべて、といった見方をするなら、ロータリー史上ナンバー1のモデルであることは間違いない。