最新装備や機能に心が奪われる
装備やメカニズムも話題が満載だった。何といっても注目を集めたのは日本初の「エレクトロニック・ディスプレイ・メーター」。スピードメーターはブルーグリーンの蛍光表示管のデジタル。タコメーターはLEDをグラフ状に並べたもので、スピードメーターのデジタル表示は1km/hごと、書き換え時間は0.28秒ごと。
ほかにもクルーズコンピューター(航続距離や到達予想時刻、燃費などをデジタル表示)が用意されたり、録音機能付きのカセットプレーヤーも備わり、これはチューナーのほかマイクからも録音可能で(誰が何に使っていたのだろう?)、ドルビーノイズリダクションシステムも付いた。合成音声でランプの消し忘れなど5項目を知らせるエレクトロニック・スピークモニターも。シートにはエアバッグ式のランバーサポートも設定。空気の充填はカメラのブロワーブラシのようにシュコシュコと手動で行なう(抜くのはボタン)方式だった。
エンジンも魅力的なパワーと性能をもつ
メカニズムではエンジンが見逃せない。クラウンに搭載されていた直6、2759ccの5M-EU型をベースにDOHC化することで高回転にも対応。吸気/排気それぞれのカムシャフトハウジングが独立した設計で、シリンダーヘッドカバーはジャガーEタイプのような(!?)黒色の縮み塗装。スペックは170ps/24.0kg-m。ほかに2Lモデルには初代クレスタで登場した当時の新世代直6エンジンだった1G-EU型(125ps/17.5kg-m)も用意された。
エンジンではさらに、日本の乗用車初のインタークーラー付きターボだった2L(M-TEU型)、2Lツインカム(1G-GEU型)を搭載。また終盤近くには2.8Lが3Lの6M-GEU型(190ps/26.5kg-m)に置き換えられている。
サスペンションについては、フロント=マクファーソンストラット/リヤ=セミトレーリングアームの4輪独立式。世界初を謳ったTEMS(電子制御サスペンション)が2.8Lモデルに投入されたのは意外にも最初からではなく、1983年のマイナーチェンジのタイミングからだった。
ハイソで素敵な憧れのクルマだった
……以上、あらまし過ぎるあらましではあるが、初代ソアラがいったいどんなクルマだったのか? を振り返ってみた。筆者は残念ながら実車を所有する経験には恵まれることなく縁はなかったが、当時、若者向けの雑誌などで「彼女たちが助手席に乗りたいクルマBest○○」といった記事を組めば、BMW3シリーズやアウディ80、ポルシェなどとともに、このソアラが誇らしげに名を連ねていたように思う。ハイソカー、デートカーなど、何とも甘々な言葉が飛び交っていたステキな時代だったが、初代ソアラは日本車の歴史にも名を残すステキなクルマだったことは間違いない。