ドアバイザーの効能とは? そのメリット、デメリットを考察
左右ドアのウインドウに装着するのが、ドアバイザー。走っているクルマをよく見てみると、装着率の高いアイテムである。その機能や装着のメリット・デメリットなど、ドアバイザーについてまとめてみた。
ドアバイザーとは?
ドアバイザーとはドアウインドウに装着する樹脂製のアイテムで、バイザーという名称からもわかるように、上部のみに付けられる。透明の樹脂となっているのは視認性を確保するためだが、ヒストリックカーでは金属製でできたものも存在した。構造上大きく分けて2種類あり、サッシュレスドアは車体側に取り付け、サッシュドアはドアに取り付けられる。
ドアバイザーのメリット・デメリット
ドアバイザーのメリット
メリット1:窓を開けても雨や風が入ってこない
高速道路を走行しているとき、窓を開けるともの凄い勢いで風が入ってくる。雨が降っていれば、車内は水浸しだ。もちろん開けなければいいのだが、車内の空気を入れ換えたいときやイヤなニオイがこもってしまったときは、少しでいいので開けたくなる。
また、タバコを吸うときはエアコンのボタンで外気導入にして、窓を少し開ければ自然にほぼすべての煙を車外に流し出すことができる。
メリット2:駐車時の換気が安全にできる
最近は毎年、夏ともなると猛暑続き。駐車時の車内も相当な温度になっていることが多い。そこで少しでも熱のこもりを解消するために、少しだけウインドウを開けているクルマを見かけるし、実際に実践している方も多いのではないだろうか。
メリット3:気になる紫外線の侵入を防止
車内に侵入してくる日射しはとても気になるもの。単に暑いというだけでなく太陽光に含まれる紫外線によるお肌のダメージはできるだけ防ぎたい。ドアバイザーを付ければ遮光効果が期待できる。そもそもサイドウインドウには色の着いたウインドウフィルムは貼れないので、太陽光をシャットアウトするのは難しかったりするだけに、合法的に装着できるドアバイザーは貴重な存在だ。ウインドウの上部だけしかカバーしないと思いがちだが、車内に侵入してくる太陽光は斜め上からが多いので十分効果がある。
ドアバイザーのデメリット
デメリット1:デザインや見た目が変わる
一般的にクルマというのは、ドアバイザーがない状態でデザインされている。そこにあとからウインドウのフチに沿って透明とはいえ、樹脂のパーツを装着するというのは、全体のバランスを崩しかねない。幅の狭い、見た目のボリュームが小さいものを選べば影響は少ないが、ドアバイザー本来の機能も低下してしまうのは考えものだ。
デメリット2:若干ではあるが視界が悪化
視界を確保するために透明にはなっている。ただし薄く色が着いているうえ、形状が原因で視界がゆがむのでそもそもクリアには見えない。斜め前方の視界を若干とはいえ遮ることもある。対策として、ウインドウの上部は幅が広くて、前に向かって次第に細くなっていくタイプもある。また、装着してから時間が経ってくると樹脂製のため表面に細かいキズが付いて、だんだん曇ってくるのも問題だ。樹脂専用の復活剤を使用するとクリアさが戻ってはくるが完璧ではないし、また元に戻ることもある。長い目で見ると消耗品として考えたほうがいいだろう。
デメリット3:洗車に手間がかかる
ウインドウをきれいにするのは洗車の基本。ガラスがピカピカに輝けばクルマ全体のイメージもグッとよくなる。しかしドアバイザーを付けていると、肝心のウインドウが効率よくきれいにできない。ドアバイザー表面は直接きれいにできるのでいいが、その裏や隠れているウインドウを拭くのはそのままでは至難の技。
ドアバイザーが必要な人と不要な人
ドアバイザーを必要としたり、装着したほうがいいのは、やはり換気をよく行うユーザーだろう。ニオイはもちろん、なんとなく空気が濁った感じがするから空気を入れ換えたいという人はとくにオススメ。装着することによって、高速道路を走っているときや雨の日でも強い風や雨粒が吹き込むことなく、快適に空気を入れ換えられるのはドアバイザーを装着する一番のメリットだし、恩恵も大きい。
ちなみに、タバコに限らず、車内にニオイが染みついてしまっていると、落とすのが大変というか、実際のところ完全に落とすのはかなり難しい。そうなると将来的な中古車としての価値も落ちてしまうことから、当然のことながら査定はかなり悪くなってしまうことが多い。逆にドアバイザーを付けて、こまめに換気してニオイの付着も防いでおけば査定は落ちにくくなる。ドアバイザーを付けるという日頃からの対策は大切になるというわけだ。一方、不要というのはニオイが気にならなかったり、高性能エアコンを装備していて、そもそも悪臭があまり出ないから要らないということもあるだろうが、やはりデザイン面が大きな理由だろう。
スポーツカーやクーペ、輸入車など、スタイル重視のクルマの場合、後付けの付属物であるドアバイザーをウインドウに付けるというのは本来のデザインが崩れてしまう可能性が高い。とくにサイドの流麗なラインが持ち味のクルマだとなおさらで、すっきり感がなくなってしまうこともある。
また、使ってみたうえで効果と見た目を天秤にかけて、見た目を取るならば、取り外してしまうのも手ではある。取り外すのはそれほど難しくはない。いずれにしても自分のカーライフを振り返り、よく考えたうえで自分にとってドアバイザーは必要なのか、不要なのかをよく考えてから、装着するしかないと考えるということが大切だ。
ドアバイザーが付いていない車
では、ドアバイザーを装着していないクルマがいるのは何故か? 今後、装着車は増えるのだろうか? どんなクルマが付けているのだろうか? 以下、順番に疑問に答えていこう。
前述の通り、一般的に国産車の場合ドアバイザーはディーラーオプションとして設定されていることがほとんど。しかも単品装着ではなく「ベーシックパック」や「ベースキット」と称して、その他純正アクセサリーとセット販売されるケースが多い。
例えば日産の場合「プラスチックバイザー」単品購入も可能だが、ナンバープレートリムセット、ナンバープレートロック、ロックボルト、フロアカーペットを合わせた「ベーシックパック」が存在する。
以前某国産車のディーラーに勤めていた営業マンに話を聞くと「販売会社によって異なると思いますが、私が勤めていた会社ではベースキットの販売を推奨されており、最初のお見積もり段階で入れていました。お客様にとっては単体で購入するよりお得ですし、会社にとっては大量に納入することでコストを下げる狙いもあったのだと思います」。
またドアバイザー含めたベースキット装着率に関しては「8割は超えていたと思います。ディーラーで新車購入する場合はほぼ装着されていると考えてもいいですね。車種によっても異なりましたが、ドアバイザーの風切り音が気になる方や、値引き条件が厳しく支払い総額を下げたい方は装着しない場合もありました」。
ちなみにリース車両やディーラーではない自動車店はドアバイザー含めたベースキットを装着していない場合が多い。車種の偏差というよりも、売る側、販売形態の都合に左右されるということだ。
まとめると、国産車ではドアバイザーの装着率はかなり高く、今後もディーラーの方針が変わらない限り高い装着率をキープすると予想できる。車種、ボディタイプによる装着率の変化もあまりなさそうだ。
ドアバイザーを自分で取り付ける方法
続いて、ドアバイザーの取り付け方法をレクチャーしよう。今回紹介するのは、とあるアフターパーツメーカーの「両面テープ式」で、サッシュドアタイプ用だ。
まずは取り付ける箇所をブレーキクリーナーやアルコールでよく脱脂しておこう。続いてドア部分のゴムモールを下げ、隙間に付属のブラケットを挟み込む。基本は説明書通りに従えばOKだが、一度ドアバイザーを仮付けし、マスキングテープなどでブラケットの場所をマーキングしておくと作業しやすいだろう。ブラケットを装着したら、ゴムモールを元に戻しておこう。
ドアバイザーの取り付けルール
ドアバイザーそのものには保安基準の規定がないため、濃くて透明度が低かったり色を塗ってしまって透明でなくなっても違反にはならないし車検は問題はない。もちろん付けても付けなくてもいいし、付けていたものを外したり、なかったところに付けても車検は通る。
また、近年リリースされているドアバイザー(社外品含む)で、視界を遮るものはあまり見かけたことがない(半透明のアクリルが劣化した場合を除く)。金属製だった時代は三角窓も装備されていた場合も多かったので、前方視界を遮るほどではなかった(そもそも昔のクルマはAピラーが細かった)。
法規面では取り付けに問題はないが、上記のように自分で取り付けを行った場合は、不完全な取り付けによる走行中の脱落に注意してほしい。とくに高速道路は風圧がかかる箇所なので負荷がかかる部分である。外れて後続車にぶつかったりしたら事故の原因になりかねない。
まとめ
以上、さまざまな面からドアバイザーについて検証してみた。以前は愛煙家にとって雨天時でもドアを開け換気できる便利なアイテムだったが、昨今は新型コロナウィルスもあり「車内換気」に敏感なユーザーにとって重宝されているかもしれない。最近「空力」の力で効率よく室内の空気を「吸い出す」ことを謳うドアバイザーもリリースされている。ディーラーオプションのベースキットの「1アイテム」としてではなく、これからはより注目されていくカスタマイズ品なのかもしれない。