櫻井眞一郎率いる「大手を食う(オーテック)」会社
日産自動車の関連会社で、日産車をベースにオリジナルの改装(チューニングも含む)を施し、ハイクオリティ、ハイパフォーマンスな車両を送り出している「オーテック」の存在は、クルマ好きならご存じだろう。
ザガートとコラボした夢のコンプリートカー
そのオーテックが1989年に「オーテック・ザガートステルビオ」とネーミングされるオリジナル車両を企画、発売した。2代目レパード(F31型)をベースとする車両で、プラットフォームやパワートレイン系を利用。エクステリアとインテリアのデザインをイタリアのデザイン工房「ザガート」に開発を依頼、架装する車両だった。
折しもバブル経済まっただ中。市場の高級、上級志向は強く、よいものであれば高額な出費もやむなし、あるいは当然とするユーザー心理が支配的な時代の車両企画だった。
F31型レパードのコンポーネンツを利用
エクステリア/インテリアデザイン以外は、レパードのメカニズムを踏襲する内容だったが、搭載エンジンのVG30DET型には手が加えられ(280ps/41.0kg-m)、サスペンションもレパードの前ストラット/後セミトレーリングアームを専用チューニングするスペシャライズド化が図られた。ミッションは4速ATのみが設定された。
生産台数は200台。さらに何台かのプロトタイプが加わるが日本仕様は100台が用意された。発売価格は1780万円と当時のメルセデス・ベンツ560SEL(V126、1365万円)より高額な設定。スチールプレスパネルを量産ラインで組み立てる大量生産の製造方法とは異なり、専用デザインの車両を上質な素材を使ってハンドメイドに近い工程で作り上げるため、非常に高額な価格設定となるのは当然だった。
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