プロでも気付かない「純正風」の作り込み
板金塗装のプロでさえ、一見してわからない驚愕の作り込み。「ノーマル」の外観を貫くマインズの凄みを垣間見た瞬間であった。 リフレッシュ後も機会があれば走らせる。キレイになったからといって飾っておくつもりはないという。別の個体で作り直しても本デモと同じにはならない。
ガレージヨシダに持ち込まれたマインズの本デモは、ガラス類が外された後にボディ専用治具(通称: カーベQ)に固定され、現状の確認と施工内容の検討をスタート。
「隅々までよく観察すると、マインズさん独自のスタイルを貫いているな、という印象です。補強の仕方は正解が導き出しにくいものですが、このR34は結果を出しているクルマですし、勉強になる素材を与えてもらって光栄です。ボディ下部にはアンダーコートがなく、鉄板の継ぎ目はほぼ溶接されている状態。各部を溶接をした後に塗装が施されています。
が、下地処理をせずにホワイトの塗装を吹いた状態ですね。重くなることを嫌い、少しでも塗料を減らしたかったことがうかがえます。一部メインフレームやホイ ールハウス内に塗装剥がれによる錆が出ていますが、根が張って腐食しているわ けではないので、状態としては悪くありません」と吉田代表は分析する。
剛性アップと共にグラム単位で軽量化を徹底
他にも驚異の発見は続く。ボルトやナットはできる限り小さいサイズに変更し、トルクの掛からない部位はチタンやアルミに置き換え済み。唯一剛性アップのために追加されたリヤストラットを繋ぐバーは、普段は内装が装着され目にすることはない場所に投入。ボディをバラしたときに車両から降ろされたハーネス類は通常の半分程度しかなく、不要な配線は間引かれ、ECUもそれに対応したスペシャル品が使用されていた。
そしてフロントのホイールハウス内を覗けば、バルクヘッド側に当て板が追加され溶接留めにされている。リヤ側はホイールハウスの出っ張り部分に当て板を追加し剛性をアップ。リヤシート下部のフロアは、フレーム類はすべて追加の溶接で補強しているが、剛性が不要な部分には手を入れていない。そして通常はボルトナットで固定されているはずのルーフのフレームは、すべて溶接留めに変更。軽量化と剛性アップを図っている。
伝説となるほどの速さを持っているのだから秘密は必ずある。軽量化と剛性アップ。考えてみれば当然のことなのだが、それを「いかにも」ではなく、純正然としたスマートな佇まいでやり遂げる。もちろん手間も掛かる作業だが、努力は見せずに結果を残す。マインズの貫くポリシーとカッコよさを再認識したのである。