「RVブーム」のなかデビューした初代テラノを振り返る
マクドナルドのCMでキムタクが「ちょいマック〜♪」と歌いながら運転しているクルマを観て「何これ、カッコイイじゃん!」って思った人も多いはず。 あのネオクラシカルな四駆は特別珍しいクルマではなく、かつてのRVブームで大ヒットしたニッサンの初代テラノ(WD21)だ。
ところが、現存数こそ少ないとはいえ、中古相場を調べると300万円近いプライスタグが付いている個体もあってビックリ! これはひょっとして再ブレイクするのか!?
都会派四駆として親しまれた1986年デビューの初代テラノ
テラノはRVブームの幕開けとともに1986年にデビューした。デザインは当時カリフォルニアにあった日産デザインインターナショナル(NDI、現・NDA)によるもので、ボディを低く抑えたスタイリッシュなフォルムが斬新かつ都会的で女性ファンも多かった。デビュー当時は2ドアモデルのみの展開で、ロールバーをイメージさせる後席の三角窓がユニークだった。
CMにも登場する4ドアモデルが追加されたのは1989年で、1993年にはオーバーフェンダー付きのワイドモデルも登場した。ちなみにキムタクがCMで運転しているのはナローボディだ(サンドベージュ系のボディカラーは設定されていないため、オールペイントかラッピングした車両と思われる)。
テラノに限らずトヨタ・ハイラックスサーフや三菱パジェロなどの当時のRV四駆は、平日は都会を走り回り週末にはキャンプやサーフィン、スキーに出かけるというRVブームを象徴するライフスタイルが良く似合うクルマであり、日本のSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の起源となったモデルの1台と言えるだろう。
ダットサントラックから派生した実力派として誕生
洗練された外観が印象的なテラノは、ダットサントラック(D21型)をベースにした硬派な四駆としての一面を持つ。フロントサスペンションは独立懸架(ダブルウイッシュボーン式トーションバー)とし、リヤは卓越した悪路走破性に定評があるサファリ譲りの5リンクコイルリジッドを採用。その結果、オンロードでの快適性と確かなオフロード性能を両立していた。
テラノのオフロード性能はモータースポーツでも実証され、ダカールラリーをはじめとするラリーレイドなどにおいて市販車無改造クラスで輝かしい成績を収めている。