面倒くささの先にある極楽を楽しむ
某CMでも話題になっている「テントサウナ」。名前の通り、テントでサウナを楽しむというものだが、実際どうなのだろうか? 街中のサウナでは楽しめない気持ちよさから、準備や片付けなど現実的なところまで、サウナにハマった「カーツさとう」が徹底的にリポートします!
「サウナテント」の醍醐味とは何か?
「テントサウナってやったことあります?」編集長からそんな電話がかかってきた。何度かやったことはありますけど……なんて答えると、どうなんですか? いいんですか? と、妙に食いついてくる。どした? 「いやぁ~、最近アウトドアでテントサウナが流行ってるっていうんで、なんか記事を書いてもらえないか? と」
あ~あるほど! なんて返事をして、今こうやって書いてるのがその記事なんだけど、電話で編集長が聞いてきた「どうなんですか? いいんですか?」ってことだけ最初に書いちゃう。
当たり前だけど、人それぞれ!
それも、人によって好きか嫌いか分かれる度合いが最高峰なのがテントサウナ!! そもそもサウナだって好きな人、嫌いな人いるじゃん。アウトドアだっていますよ、好きな人、嫌いな人。
その両方の要素があるんだから、好きな人は、普通のサウナを遥かに超えてハマる! 逆にダメな人は「未来永劫、ご勘弁……」になる。その理由を体験踏まえつつ、いまからいくつかのキーワードでサクッと、そしてたいていのこの手のネット記事って宣伝入ってるけど、そんな手心一切なしでまとめます。
『遠出』:自然の「水」を楽しむために出掛ける
テントサウナの醍醐味は、なんつったって、サウナであったまった体を、川の清流だったり湖水だったり、大自然のキリイッと冷えた自然水で冷やすとこにある。なんて当然だけど、ある程度大自然溢れる場所までいかなきゃいけない。
ここはオレが6年くらい前にテントサウナやった丹沢のキャンプ場。やっぱり都心からだと2時間近くかかるもんね。
アウトドア好きには屁でもない距離だし、その“遠出”して大自然に自らを埋没させることが快感ですが、生粋の出無精にはこの時点で辛い!
『準備』設営の時間も楽しめなきゃダメ
テントサウナって、基本的には自分で道具一式を用意して、現地まで運ばなきゃいけない。その道具がどのくらいかっつうと……。
これはフィンランドの「SAVOTTA 」ってブランドの4~6人用テントサウナ一式。かなりコンパクトに収納できるように設計されてるけど、それでもクルマのトランクをかなり占拠する。薪だのサウナストーンもあるしね。
それどころか、テント内に設置するベンチや、ロウリュする手桶にラドルも必要になってくる。
ただし! 最近はコンパクトさに定評ある「mobiba」というロシアのテントサウナメーカーの製品も日本に入ってきている。そのサウナストーブは、蒸気も発生させる仕組みになっていて、ロウリュはできないけれど、そのぶんサウナストーンも必要なく、ふたりまでの小型タイプならば、一人で背負って持ち運べる、もはやウェアラブル感覚。
まぁ、そんなこんなでキャンプ場まで道具を持ってきたら、こんどはテント設営である。
そして設営が終わったら、いよいよストーブに点火、そしてサウナ体験となるワケだ!
『自由に熱を育む』:温度セッティングは自在!
テントサウナって、自分たちが主催だからね。自分でなんでもやらなきゃいけないけど、そのぶんなんでも自由! もちろん二酸化炭素中毒の問題とか、ゴミ捨てだの後始末だの、そこら辺は自由以前の“生存”とか“マナー”として守らなきゃいけないけど、テント内の温度も、サウナストーンに水を掛けるロウリュを自由にし放題! そこらの自分で何から何までセッティングする楽しみは素晴らしい!
ストーブの中の火を育てていく、なんていうんだろ、あるじゃん? 自分が育んだ焚き火の火が大きくなっていく快感! これは好きな人にはたまらない!
そして、苦労して火を大きくすればするほど、テント内の温度も上がっていくわ、ロウリュした時の蒸気も凄くなってますます体感温度上がっていくわという、極めてまっとうでウソのない“労働対価”!!
ますますありがたい! そして暖まったら待っているのが、川だの湖といったナチュラルウォーターでのクールダウン! フィンランドでいうところの『アヴァント』ってヤツですね。
あ、これ、オレね。もちろんこういう自然の冷えた“生きている水”に入るっていう、それだけで準備だの設営だの、そんな苦労がフッ飛ぶ気持ち良さなんだけど、それ以上に気持ちいいのが、日本のほとんどのいわゆるサウナ施設でルールとなっている水風呂前の汗流しなんてのをしないでいいっここと!
汗ダラダラの状態で、そのまんま水の中にドボ~ンと行く、天下無敵に自由奔放な解放感!
なのでテントサウナを設営する場所も、ただ川だの湖だの水がありゃいいというだじゃなく、理想をいえば、全身がスッポリと水につかれる、写真みたいに滝壺チックな深みのある水場の近くが理想。
『後片付け』:極楽後の現実も楽しめてこそ!
これだ! たぶん、テントサウナの好き嫌いを分ける最大の要因がこれ!! 苦労もあったが楽しかった! 自然最高! ビバ自由!! なんて感動すればするほど、その後の後片付けって大変っていうか、逆に寂しさがつのってくるもんじゃん。
ましてサウナの後って、呑んで喰ってダラ~ッとするのが最高なんですよ。そのためにサウナ入るといってもいい、オレなんか。でもテントサウナの場合、最後の最後にテントたたんだり、燃えた炭とかも処理したり「さとうさん! ちょっとは働いてくださいよ!!」 なんて怒られたり、天国から急に現実に引き戻される思いですよ。
テントに一泊して次の日に帰るとしても、オレなんか次の日も帰りの車中も酒呑み続けていたいなんてタイプなんだけと、ドライバーの方に気を使ったら、そうもいかないし。そこも含めて好きっていう人はいいと思うよテントサウナ!
そこらも含めて、自分で用意しなくてもテントサウナを味わえる“テントサウナイベント”っていうのも、ネットとかで調べるとやってるから、それにまず行ってみて、自分はどこまでテントサウナ好きになれるか? を確かめてみるのもいいかもしれない。ただ、その手のイベントは、当然のようにテントサウナの魅力のひとつである自由度はかなり落ちるけどね。
そこで「行けるぞ!」と思ったら、最初はレンタルでテントサウナ借りてみる。これもネットで探せばいくらでも貸してくれる業者は見つかります!
そしてそこで「ハマったわ!」って人はもうテントサウナ買っちゃってください! だいたい10万~20万くらいでございます! 全然ハマらなかった人は、それはそれでいい。オレなんかそのタイプ。
ただ一回でもテントサウナやると、街のサウナ施設なんか金払えば簡単に利用できるけれど、そもそもサウナって大変なモンなんだなァ~と実感できる。街のサウナも、そのバックヤードでは、掃除したりボイラー管理したり、そういう皆様によって支えられてるんだなぁ~なんてことが、うっすらとでもわかってくる。それだけでも、一回はテントサウナをやる意味がある。
『仲間』:イベント的に楽しめる友が大切
そして最後に! 今から「やってみる、テントサウナ?」ってタイプ含め、ほとんどの日本人はテントサウナやるっていったら、正直な話、何人か仲間集めないとできないよ。できないっていうか、仲間が集まって、「じゃあ今度の週末、テントサウナやっちゃうか!」っていうイベント的モチベーションがないと、なかなかテントサウナを実現させるまでには至らない。意欲的に難しい。これは実際にやってみればわかると思う。
ひとり用テントサウナもレンタルできるし、ソロキャンプも流行ってる。ただ、それができる人はもうこんな記事読む前からやってると思うの、ひとりテントサウナ。
ってことでテントサウナを好きになるか、どうにも好きになれないか? それ以前の問題で、一緒にアウトドア的な行動をしてくれる仲間を見つけるっていうことが、まずは先決かもしれない。人として。