日産スカイラインハイブリッド:わかりやすいスポーツ性はとても良い
国産プレミアムセダンのもうひとつの雄、スカイラインGTに乗ると、わかりやすいスポーツ性がとても印象的だ。ボディにも足にもビシッと引き締まった堅牢感があり、無駄な動きを排除した雰囲気で、いかにも走りを重視したセッティングであることが伝わる。 エンジンは3.5Lと排気量が大きいこともあって加速力にパンチがあり、電気モーターの上乗せ分もしっかりと効いている感覚が心地良い。重い車重を重厚感として上手く活かしながら、スカイラインらしいスポーティなハンドリングが楽しめる。 やや古典的とも言えるが、これはこれで十分アリだと思えるし、元走り屋のオトナは好きになれる乗り味だ。決して名ばかりのGTではない。依然として気になるのはステアリングフィール。ステアリングの動きを電気信号に置き換えてタイヤを操舵する、いわゆるバイ・ワイヤ式のステアリングの手応えに違和感を感じる。 ハンドリングそのものは軽快で正確性も高く、路面からの情報も必要なぶんは得られるのだが、操舵量が多くなった際にグニャっとした手応えを伴うところが気になった。オーナーならすぐに慣れる程度だし、これが世界初の市販車向けバイ・ワイヤのステアリングフィールなのだと思えば悪くないとも言えるものの、さらなる自然な手応えを目指して改良してほしいところだ。ISの甘美な手応えのステアリングを握るとなおさらそう思った。
まとめ:本物のプレミアムセダンに望むこととは?
話をまとめると、総じて両者ともになかなかに個性的で、とても良いプレミアムセダンに仕上がっていると評価できる。しかし、本当の意味で「本物」のプレミアムセダンになっているかどうかは、まだわからない。 サーキットで挙動を制御する電子デバイスをカットした状態、つまりクルマとしての素の運動性能の高さもしっかり高められているのかをチェックしてみたいものだ。これまでの国産プレミアムセダンは電子制御ありきのセッティングで、オフにするとたちまち馬脚を露わす。公道ではそれでも困らないわけだが、基本的な素の性能を高めた上で電子制御で盤石とするのがクルマ作りとしては正しい。本物のプレミアムセダンにはそれを望みたいと思っている。