寿司屋で話した「K4GP」がきっかけでレースチームが発足
今回、アルファロメオ・ティーポ33/TT12レプリカの製作に携わった工業デザイナー氏に「どういうわけでK4GPに参加しようと思ったのか?」という段階から話を伺ったところ、このように話してくれた。
「そもそものきっかけは、マツバ寿司というお店で話が盛り上がったそうです。私はそのとき現場にいなかったのですが、ティーポ33ストラダーレを手造りしてK4GPに参加している友人チームがいたのと、K4GPに参加したことがあるメンバーがいたことがきっかけで、スクーデリア・マツバというチームが発足しました」。
「その後、旧いイタリア車を所有するメンバーが私も私もということでどんどん増えていき、最終的には十数人のメンバーが集結。これだけ人数がいれば製作費や参加費その他もろもろを折半できるんじゃないか? とのことで、クルマを造って参加する方向で話が進みました。K4GPの間口が広かった一因は、クルマを造って参加するという発想ですし、K4GP代表でありマッドハウス主宰の故・杉山さんが造ったポルシェやジャガーの出来が素晴らしかったということも関係しています」。
ベース車両はザウルスからフォーミュラに変更
どうせK4GPに参戦するなら、みんなが大好きな夢のクルマでサーキットを走りたい、という想いが強かったことに加え、ティーポ33ストラダーレを自作したチームのブログ等を見ていたこともあり、そこへの対抗心もあったという。K4GPに参加することを決めた2007年の秋から実際に造り始め、メンバー内のデザイナー数名でスケッチを描いてから一年近く経った2008年8月に完成。
「納車されたのがレースの2週間前で、サーキットで試走する時間もありませんでした。メンバー全員でカラーリングを仕上げ、ぶっつけ本番で参戦しました。いま思えばヒヤヒヤですね。当初、日産がワンメイクレース用に生産したザウルスをベースとして、ボディを造る予定でした」
「実際に車両を購入して試走までしたのですが、参加する年から排気量の制限が厳しくなって、軽のエンジンに載せ替える必要があったのと、ホイールベースやトレッドのバランスで、どうにもカッコ良くならないので思い切って売却。エンジンを載せ替える必要がなく、フォーミュラ・シャーシのためサブフレーム製作等のモデファイが容易で、なおかつプロポーションのバランスがいいスズキのフォーミュラKeiを探して購入しました。余談ですが、最初に買ったザウルスは、翌年、他のチームがポルシェ956風のボディを造り、K4GPに参加していましたね」
スズキのフォーミュラKeiをベースとしてアルファロメオ・ティーポ33/TT12レプリカを具体的にどうやって造ったのか? が気になるところだが、そのあたりについても詳しく話してもらった。