走る楽しさをとことん追求したこだわりモデル
クルマには複数のグレードが用意されるが、最近は日産ならニスモ、トヨタはGR、ホンダはモデューロXという具合に、専用チューニングが施された車両を設定している。ユーザーが個別にパーツを取り付けるのではなく、コンプリートモデル(完成車)として購入できるチューニングカーだ。完成車だから性能のバランスも良く、もちろん販売店で購入できて車検も受けられる。
これらのコンプリートモデルは、はたして売却するときに有利なのか。日産の販売店に尋ねると以下のように返答した。
「ノートe-POWERニスモは人気が高く、中古車市場でも少し高く取り引きされています。大幅な高値ではないですが比較的有利です。ただしコンプリートモデルの売却額は人気に大きく左右され、高く売却できない車種もあります」
クルマの売却額と中古車価格は、中古車市場における流通台数に対して、需要の多い人気車であれば高くなる。逆に流通台数に対して需要が低ければ、売却額や中古車価格も下がる。コンプリートモデルか否かよりも、車種やモデルの人気度が重要だ。
ベースモデルの人気に左右されてしまう
ノートe-POWERニスモは、2018年式の新車価格が約246万円で、現在の中古車価格は170〜180万円になる。新車価格に占める中古車価格の割合は70%前後だ。
対してノーマルのノートe-POWERメダリストは、同じ2018年式の新車価格が約233万円で、現在の中古車価格は130〜150万円になる。新車価格に占める中古車価格の割合は60%前後。従ってノートe-POWERのようにコンプリートモデルの人気が高ければ、ノーマルグレードに比べて、多少は高値で売却できる。
フリードハイブリッドモデューロXホンダセンシングは、2018年式の新車価格が約313万円で、現在の中古車価格は250〜260万円だ。新車価格に占める中古車価格の割合は約80%になる。
ノーマルグレードのハイブリッドGホンダセンシングは、2018年式の新車価格が約250万円で、現在の中古車価格は180〜200万円だ。新車価格に占める中古車価格の割合は約75%だから、モデューロXが少し高値になる。
以上のようにコンプリートモデルは少し有利だが大幅な高値にはならない。ノートe-POWERニスモの新車価格に占める中古車価格の割合は70%前後、フリードハイブリッドは、ノーマルグレードでも75%と条件が少し良い。車種の人気度が大きく左右する。
査定を気にせず自分の乗りたい仕様に乗るのがベスト
従ってクルマ好きのユーザーであれば、欲しい車種を素直に選ぶのがベストだ。例えば本当はイエローの外装色が好きなのに、売却条件に押されてブラックやホワイトを選ぶと買った後で後悔する。街中でイエローの外装色を見かけて「やっぱりイイよなぁ、こっちを選べばよかったかなぁ」と思ったら、新車を買う価値が薄れてしまう。
売却時の価値は、購入時の知識とか迷ったときの判断基準に留めたい。好きなクルマを選ぶのがベストだ。もし惚れたクルマが現われたなら、それは素晴らしいことだと喜びたい。