雨には雨の趣がある!? まずはポジティブに捉えよう
雨だ! さぁキャンプに行こう! などと前向き過ぎるキャンパーはあまりいらっしゃらないとは思いますが、数カ月前に予約したキャンプが雨になってしまう確率が高いのが梅雨どきのキャンプ。キャンセルを考える人も少なくないはずです。しかし、よほどの荒天でなければ雨には雨の良さがあり、テントやタープ下に籠もって過ごすのも楽しいものです。
せっかく予定したキャンブですから、「雨かよー」とがっかりせずに雨天を楽しむキャンプへと心構えを切り替えてみてはいかがでしょうか。そんなわけで、「雨キャン」を成功させるための小ワザをご紹介してみようと思います。
「雨キャン」のメリットと注意すべきポイント
雨キャンは虫も少なく涼しい、キャンセルで人も少ない、音がかき消されて静寂、焚火が火災になりにくく安全、タープからの雨水をバケツに貯めて洗い物に利用、水汲みに行かなくてラク⋯⋯など発想を変えると楽しむポイントがたくさん見えてきます。天然の浄水である雨を有効利用してみるなど発想を変えてみましょう。
雨キャンが優雅になるか大惨事になるかの分かれ目は雨水の流れ次第ですのでテントサイトの場所選びが重要です。まずはいくつかのポイントを知っておきましょう。
雨水のこない場所を見極める
泥んこになってしまうキャンプ場はクルマがスタックするなどリスキーですしキャンプは大変困難です。また河原も増水のリスクがあります。芝や整地された板張り区画のあるキャンプ場、できればクルマを横付けできるオートキャンプ場が荷物の出し入れや万が一荒天時の避難などが容易です。
タープを最初に立てる
雨キャンではタープの重要度がかなり高くなります。大きめのタープは濡れない作業スペースとなりますので最初にタープを立て荷解きやテントの設置を行いましょう。また撤収作業もタープ下で濡れずにできます。雨キャンではほとんどターブ内で過ごすことになりますので、人数にもよりますが大きめのタープが役に立ちます。
タープの種類ですが、焚火を想定するならポリコットンやコットン素材を。ただしコットン系は水を吸うと重くなります。ポリエステル系は撥水性能も高く軽量ですが火に弱いので気を付けてください。
テント周辺の留意点
テントは素材の耐水圧よりもインナーテントの底が水に強いタイプがおすすめです。バスタブ形状など浸水しにくいものもあります。またテント下に敷くグランドシートの他に、テント内にも防水シートを敷くと濡れにくくなります。寝床はコット等で高さを確保しシュラフが濡れないようにします。小型のフォールディングスコップなどを用意しておくとテント周辺に雨水溝を掘ることができます(溝掘りの可否はキャンプ場に要確認)。
普段のスタイルを変えて グルメキャンプを楽しむ
キャンプにはさまざまなスタイル、趣向がありますのであくまでひとつのアイデアに過ぎませんが、雨キャンは多めの食材とドリンクを用意してグルメキャンプにしてしまうことをおすすめします。タープから出られませんし焚火もタープ内では憚られますので、火床は炭火を利用しバーベキュー、煮込み、あるいは普段なら手間を考慮して簡素に済ませいていた手のこんだ料理にあえてトライしてみるのも一興です。
いつもなら重くてつい持っていくのをためらうダッチオーブンでパン作りにトライしてみたり、家ではできない炭火の強力な火力で、中華鍋で酒のツマミを量産するのも楽しいです。七輪など炭火の火床を複数用意すると煮込みと焼物を同時に調理できますので、テーブルの上で焼き鳥を楽しみながら煮込みを作ることも可能です。
大型のクーラーボックスを複数用意して、ぜひ多めの食材とドリンクを詰め込んでグルメキャンプを楽しんでみてください。できれば調理道具もキャンプナイフよりペディや包丁が使いやすく、まな板も大きめのものが使いやすいです。
最後に、雨キャンのあれば助かる小物と注意点を並べておきます。
■その他雨キャンを充実させるギア
・ペグは30cm級の鍛造ペグが安心
・小型のスコップは雨水溝づくりやクルマのスタック時に
・シート類は荷物の雨よけ、濡れ防止に
・多めのタオルと乾いた着替え(触れた衣服は不快かつ体温を奪う)
・ウエス(雑巾)で泥汚れに対応
・両手が使えるレインウエアが安全
・傘はトイレ時などに重宝
・ロープはタープ下に物干しを作れる
・大きめのゴミ袋が重宝(乾いた衣類・タオルを入れ濡れ防止。撤収時は濡れ物・汚れ物などを収納)
・長靴もしくは濡れても気にならないビーチサンダルがあると便利
・新聞紙(雑巾代わり、焚火着火時の雨よけ、灰の始末など)
■雨キャンプの注意点
・天気予報などをこまめにチェックし豪雨・強風・落雷・増水など荒天が予想されるときは早めに撤収・避難を判断しましょう。管理棟がある場合は管理者に聞くなどローカル情報も収集してください。
・四方が開放されたタープ内では一酸化炭素中毒はほぼ起きませんが、テント内での火気使用は火災および一酸化炭素中毒による死亡リスクが非常に高く大変危険です。
・夏場の車内は高温になりますのでガスボンベの温度管理に注意してください。
・刃物類は適切に梱包・運搬してください(銃刀法・軽犯罪法に抵触します)。
・斧・ナタ・ナイフ類は適切な安全管理と危険予知の元で使用しましょう。特にお子さんが大ケガをするリスクに留意してください。