パワーだけでなく足まわりや駆動系も強化
一方、駆動系ではトランスミッションはノーマルだがファイナルギヤをオリジナルの4.083から4.111に変更し、加速力の向上を図った。またリヤデフにはニスモの機械式LSDを装着し、ドライブシャフトも強化品を投入。クラッチもニスモの強化品を採用した。
サスペンション系ではエンジンマウントやリンクブッシュなどはすべてニスモの強化ゴムに変更し、ダイレクトなハンドリングを目指した。ちなみに、この当時、改造車検制度が現在ほど確立されていなかったため、純正形状のローダウンスプリングと減衰力調整式ダンパーを組み合わせたシンプルなものだった。車高も1cmほどのダウン量に抑えている。ブレーキもフロント4ポット、リヤ2ポットに変更。ローターサイズも純正よりも大きなサイズに変更し強化された。
ただ、タイヤサイズは全国の車検場で問題の無いサイズということから、フロント:215/60R16、リヤ:225/50R16と、当時の感覚でも控えめなサイズだった。
外装ではニスモが販売していたフルエアロを装着。唯一、ボンネット上のエアスクープのみ270R専用となっていた。また内装はチェッカーフラッグをイメージした専用生地に変更。シート形状そのものは純正品と同じものだ。
じゃじゃ馬「270R」は抽選販売となった
開発期間は約1年を要した。最終的には一般道も含めた耐久テストをかなりの距離で行い、完成。生産台数は30台の限定だったが、蓋を開けてみれば、応募数は予想を上回る数となり抽選となった。
270Rのエンジンは、中低速域から太いトルクを発生していて、高回転域までストレスなく吹き上がる特性だった。雨天時のゼロスタートではすぐにホイールスピンを誘発するので、アクセル操作に気を使うほどだった。
270Rはニスモとしては初のコンプリとカーと言われているが、広義のコンプリートカーとしては、1990年に発売したN14パルサーGTI-R NISMOが第1弾である。ただし、こちらは当時の国内ラリー対応した競技モデルで、ニスモのラリーパーツをすべて投入したほか、ボディ補強も施したものだった。もちろんエンジンは当時のラリー車両規定に基付き完全なノーマルだった。
しかし、ストリート向けにエンジンも含めてトータルにチューニングしたコンプリートカーとしては270Rが紛れもなく第1弾となる。