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偉大すぎる兄弟に挟まれた「真ん中っ子」! わりと名車だった3代目フィアット「500」とは

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: FCA/チンクエチェント・トロフェオオーナー

そもそもフィアット500ってどんなクルマ?

 キュートなスタイルで人気なのが、フィアット500だ。500のイタリア語読みであるチンクエチェント(5と100という意味)の愛称で大ヒット作と言っていい。日本でももちろんだしヨーロッパでもヒット。このクルマのおかげでフィアットは身売りなどをしなくて済んだ。2007年に登場した現行のフィアット500

 さらに、クルマに詳しくなくてもルパン三世の愛車としてもお馴染みの2代目フィアット500はご存知だろう。現行モデルのモチーフにもなったもので、かなり小さいボディサイズと可愛いデザインが特徴だ。ルパン三世でもお馴染みの2代目のフィアット500

 クルマ好きなら初代のフィアット500もご存知のはず。大ヒットとなった2代目とは小型車という点では同じだが、メカニズムなどはまったく異なるもので、デザインもトッポリーノ(ハツカネズミ)と呼ばれるように、ユニークなものとなっている。ローマの休日にも登場したフィアット500トッポリーノ

フィアット500ではなく「Cinquecento」が車名

 ここまで見てきたように、フィアット500は今に至るまでで3代のように思えるが、じつは4代が正しい。それが1991年に登場したフィアット・チンクエチェント。資料だけでなく現車を見ても「FIAT500」という文字はどこにもなく「Cinquecento」とあるだけなので別物という意見もある。登場時はフィアット500の後継車として扱われていたし、実際、個人的に買ってもいいかなと思ったほどなので記憶はリアルで、関係ないモデルでは決してない。シンプルなデザインが魅力的な3代目フィアット・チンクエチェント

 ただ亜流感があるのは事実で、フィアットが株式の90%を保有していたポーランドのFSM社が生産を担当。ちなみに現在のチンクエチェントもメインはポーランド製で、生産しているフィアット・オート・ポーランドはFSM社がルーツとなる。シンプルなデザインが魅力的な3代目フィアット・チンクエチェント

 それだけに、3代目となるチンクエチェントはかなり簡素というか質素。東西冷戦終結後、発展途上にあったポーランドを始めとした東欧諸国をターゲットとしていただけにシンブルそのもの。エンジンは900ccのOHVを搭載していた。

 OHVとはかなり古臭い感じだが、1990年ごろはまだ東欧向けにかなり力を入れて作っていたし、フィーリングはけっこう軽快だった。そもそも車重は750kgしかないので、900ccで40psというスペックでも十分だった。

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