便利なコット(簡易ベッド)は種類も使い道もいろいろ
暑さで体力が奪われがちな夏は、屋外で遊ぶにも運転するにも良質な睡眠が欠かせない。通気性がよく、背中が蒸れない「コット」(簡易ベッド)は、夏キャンプの睡眠環境を向上させる役立ちアイテムだ。
かつては重く、組み立てに力が必要なものが多かったが、近年は軽量なうえにタフで組み立て・撤収も楽なものが増えた。幅や高さ、生地の張り具合などバリエーションが増え、さらに販売価格もこなれてきた。マストアイテムではないものの、クルマでキャンプに出かける際には気兼ねなく運べるので、取り入れるようになったキャンパーは多い。どんな利用の仕方があるのかなど、お伝えしよう。
まずはコットの種類をおさらい
キャンプ場でよく見かけるコットたち。使い勝手は構造ごとに異なる特色もあるので、まずは種類をあげてみよう。
●脚とフレームが連結した標準タイプ
あらかじめ生地が通っているフレームと脚が金具で接続されていて、脚を広げた後に短辺側のテンションをかける伝統的なコットがある。高さは50cm程度で、張りのある生地が心地いい。
とはいえ耐荷重は抜群でその無骨なデザインと相まって根強い人気がある。近年はレバーやプッシュボタンなどを採用した、組み立てが楽なコットも登場している。
●中央収束式
収束式のため、面倒な組み立て・撤収は不要。「バイヤーイージーコット」の高さは前述のコットと同じ40〜50cm程度だが、その構造から張りは少なく、包まれるようなイメージ。
耐荷重は149kg。広げたサイズは200cm80cmほどだが、折りたたんでの持ち運びが便利。
●レバーで脚を取り付ける軽量タイプ
写真は、現在人気のレバーで簡単に脚を取り付けられるコット。高さは20cm程度のローコットが基本で、脚を接続したり脚の取り付け位置を変えたりすることで高さが変わるものが多い。
●コの字脚タイプ
こちらは両サイドのフレームにコの字状の脚を押し込むローコット、高さは20cmほど。軽く、接地面積が広くフラット面なら安定感がある。反面、河川敷などデコボコした地面ではガタつくこともあるけれど、国内のキャンプサイトであればまず困ることはないだろう。
使う場所を考えてコットを選ぼう
●テント内で使う場合
コットの高さは40〜50cmのハイコットと、高さ20cm程度のローコットがある。通常、テントは上部ほど空間が狭くなるので、コットが高いほど中央寄りに置く必要がある。このためテントの床面積だけでは2台、3台入れられる計算でも実際には入らないことがあるし、テントの中でコットとコットの間に通路もほしいものだ。
そう考えると、1〜2人用の比較的背の低いテントであればローコット一択となる。3人用以上の広いテントでも複数台を入れるというのであれば、ローコットのほうがテント内空間の圧迫感は少ないだろう。だが、ハイコットのほうが立ち上がるのが楽という側面もある。どちらを優先させるのか、よく考えてセレクトしよう。
テント内にコットを入れるときは、脚部にかかる荷重などでテント内の下地マットなどに傷を作らないように注意しよう。テントの下にグラウンドシート、テント内ではコットの下に厚手の敷物、ラグなどを敷いて保護したいものだ。ノーガードのままコットを置くと、外部地面にある石や木と脚の先端がこすれて、フロアに穴があくことも。また、脚先端が細いコットは、テント内に敷いたマットを傷つけることもあるので緩衝するものを挟むなど、注意しよう。
●車内で使う場合
ハイエースなどラゲッジが大きなクルマであれば、コットを入れて車中泊というテもある。ラゲッジの床にそのままコットをのせられるのならいいが、シートを倒してその上に載せるといった場合には、やはりシートを傷つけないよう養生用のマットなどをあいだに敷いてかませるなどし保護しておこう。
●フロアレステントで眠る場合
スクリーンタープやカーサイドテントといったフロアレステントなど地面に直接コットを置く場合は、ハイコットのほうが埃っぽく感じず快適だろう。また、ローコットは端のほうに座ったり手をついたりするとバランスを崩してひっくり返りそうになることもあるが、ハイコットのほうは安定感がある。
フロアレステント内にハイコットを置くと狭く感じるかもしれない。だが、チェアの数を減らせばいいし、使わないものをコット下に置くなどすれば、それほど暑苦しさを感じないテント内を捻出できるだろう。
雨の日にも役立つコット
雨の日は、気を付けていてもリビング内はドロドロだ。
そのため荷物を直接地面に置かずテーブルやラックを活用するわけだが、コットはテーブルより広いのでテーブルなどに乗り切らない荷物のちょい置きに重宝する。なんでもかんでもコットに置くと就寝時の片付けにひと手間かかるので、食材や調理器具を広げる調理時などあくまで一時置き場とするのがポイントだ。
快適に眠るためのコットではあるが、ベンチとして、荷物置き場として、撤収時の補助作業台として、などなど思いのほか便利なシーンがある。どこで使うのか、どう使いたいかをイメージして購入しよう。