サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

実は「ありがた迷惑」だった? 新車でも未搭載が増えてきた「アイドリングストップ」の決定的なデメリットとは

アイドリングストップのメリットとデメリット

この記事をまとめると

■再始動の際に動きが不自然になる
■スムースな運転の妨げになる場合も
■新車では非搭載車も登場し始めた

夏場、ドライバーを苦しめる「ありがた迷惑」のアイドリングストップ

 信号待ちなどの停止中はエンジンを止めて燃費の悪化を防いだり、排出ガスを抑えて環境負荷低減にも貢献するアイドリングストップ。普及し始めてすでに10年ほど経つなかで、アイドリングストップ機能が装備されていると燃費の向上に貢献する反面、運転しにくいことがあるほか、決定的なデメリットも実証されている。

【デメリット:その1】夏場の信号待ちなどが暑い

 エアコン(クーラー)を使う夏場はアイドリングストップでエンジンが止まってしまうと、エアコンは効かなくなる(電動コンプレッサー式エアコンを持つハイブリッド車は除く)。当然車内は暑くなり、エアコンを優先させるために結局エンジンが再始動する。

 この点はスズキのエコクールなど、エアコンの構成部品のひとつであるエバポレーターに蓄冷材を入れて、夏場でもアイドリングストップが長く続くよう対応しているモデルもある。

【デメリット:その2】不自然な運転をまねく

 現在のアイドリングストップ装着車にはエンジンの再始動が遅いモデルというのはほとんどないが、油断していると青信号になった瞬間に発進がワンテンポ遅れることがある。また、停止前からエンジンが止まってしまうタイプのアイドリングストップだと、踏切や一時停止、止まりそうで止まらない渋滞といったシーンで、不必要なアイドリングストップが発動されてイライラすることも……。 ちなみに後者に関しては、停止後にブレーキペダルを踏み足すことでアイドリングストップが始まる車種なら、ドライバーがブレーキペダルの踏み加減を調整することで対応することが可能だ。

【デメリット:その3】右左折待ちからの発進の遅れ

 右左折する際に対向する直進車や交差点を横断する歩行者の流れが途切れるまで待つ場面や、矢印信号で発進する場合にどうしてもワンテンポ遅れてしまう。こちらはハンドルを切っているとアイドリングストップしないクルマが多く、この機能がなくてもブレーキペダルを少し早めに緩めてエンジンをかけておけば対応可能だ。

【デメリット:その4】バッテリーの寿命を早める

 アイドリングストップは12Vバッテリーに対する負担が大きいため、寿命はアイドリングストップなしのバッテリーの7割といったところだ。さらにアイドリングストップ車用のバッテリーの価格はアイドリングストップなしの車種用に対して1.5倍くらいの価格になり、トータルすると12Vバッテリーにかかる費用はアイドリングストップなしの2倍かかるイメージだ。

 これではアイドリングストップによりガソリン代が節約できたとしても、12Vバッテリーの交換にかかる費用でペイできるのか、非常に怪しい。また環境負荷という観点でも「燃料の消費は減らせても、12Vバッテリーの消費が増えたらエコなのだろうか?」という真理が、ここ数年で明らかになってきた。

 そのため、最近ではアイドリングストップをオフにする人も増えており、筆者も愛車のGRヤリス(1.6Lターボ+4WD)に乗るときは、12Vバッテリーがリヤにあるため値段が高そうなこともあり、乗ったら即アイドリングストップをオフにするのが習慣になっている。

【まとめ】最近の新型車両ではアイドリングストップレス車が登場している

 上記のとおり、最近のトヨタ車は総合的なユーザーの負担と環境負荷を減らすためヤリスとヤリスクロスの1.5Lガソリン車やRAV4&ハリアーの2Lガソリン車などの新しいモデルでは、アイドリングストップ機能をなくしている。それだけにアイドリングストップに関してはクルマを選ぶ際に付いているものを選ぶのか、付いていたら使うのかなどをよく考えてほしい。 ただ、日本でも始まったCAFE(企業別平均燃費規制)の達成が厳しい自動車メーカーは、とにかく燃費を上げるためアイドリングストップを付けざるを得ないという理由があり、このあたりの事情もユーザーは頭に置くといいだろう。

モバイルバージョンを終了