内外装のレストアで苦労したポイントとは?
「外装のレストアで苦労したのは、隠れた部位の錆や腐食ですね。劣化が激しい箇所の補修が大変でした。ない部品について基本は日産部品センターより購入しましたが、製造廃止の場合はサプライヤーと直接交渉して手に入れる場合もございます。今回のセドリックのケースでは、新品部品はほとんど入手できておりません。中でも左右のフロントフェンダーホイールアーチ下部の腐食やパネルに穴が空いた箇所については、新規に外板を起こして復元することはいろいろな条件を鑑みて不可能でした。そこで日産自動車で補修用にストックしてあったパーツを支給していただきました」
例えメーカーと言えど、ない部品はどうしようもない。製造廃止部品もそのためだけに新規にパーツを製作するのはコスト的に折り合わない。
「内装で苦労したのは、シートの経年劣化の復元(色褪せ)、各所ゴム類の補修ですね。前オーナーが追加したアクセサリー部品を撤去して補修したのち、オリジナル状態へ戻しました。またインストルメントパネルのアッパートリムの経年劣化による浮きを修正しましたね。内装トリムパーツも新品や程度のいい部品の入手はできず、シート表皮の色あせなどは清掃後に塗装して当時の色合いを復元しました」
エンジン関係の修復は? 電子制御部品は大丈夫だった?
また機関系の修復に関しては、前述の通りコンディションが良かったため今回は行われていない。作業前の写真を見ると改造された形跡も少なく、ほぼオリジナルだったことも奏功しているのだろう(ヘッドカバーは金色に塗装されているが)。そこでヘッドカバーの再塗装が行われ、まるで新品のような仕上がりとなっている。「TURBO」の文字が眩しい! ちなみに電子制御部品に関しては「これまで手がけたレストアでは電装・電子部品に大きなトラブルを抱えた車両はありませんでした」とのことだった。今回のセドリックは電子制御ありきのATではなく、シンプルな5速MTだったことも良かったのだろう。
ちなみに今回のレストアで入庫から完成まで期間はどれくらいで、何人くらいのメンバーで作業を行ったのだろうか?
「大体3カ月、6名のメンバーで行いましたね。これまで手がけたレストアと比較して、この人数は標準で、比較的短いほうだなという印象です。レストアの内容でかかる月数はもちろん変わり、今回のセドリックはエンジンの分解整備がなかったぶん、作業としては重くない部類でしたね」