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「空気の壁」を感じる? 素人がGT-Rで「300km/h」出して感じた「スピードより大事なこと」とは

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TEXT: 野田航也(GT-Rマガジン編集部)  PHOTO: 増田貴広/日産自動車

4.1L仕様で1100ps/120kg-mのモンスターマシン

 ステアリングを握ったのは日本を代表するチューニングメーカー「HKS」が所有するR35GT-R。2007年式の初期モデルをベースに、同社オリジナルの4.1LキットにGT1000R専用ターピンキットを装着。

300km/h超を体感したR35GT-R

 ブースト=1.8kg時に最高出力1100ps/最大トルク120kg-mという、とてつもないスペックを誇る開発車両だ。素人を乗せるには通常のラジアルタイヤではあまりにも危険ということで、「横浜ゴム」のアドバンA005というスリックタイヤを履いての試乗となった。

300km/h超を体感したR35GT-R

 新品タイヤということもあり、まずはトレッドの皮むきと熱入れを兼ねて2周ほどウォームアップ走行。6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)はHKSオリジナルの強化品に換装されており、クラッチの圧着力が大幅に高められているため、Rモードでのシフトチェンジはノーマルよりも格段にダイレクト。

300km/h超を体感したR35GT-R

 身体には「ガツン」と硬派なシフトショックが伝わってくる。加えて、100φフルストレートのマフラーが発する猛々しいサウンドも、軽くウォームアップしているだけでこのマシンがタダモノではないことをヒシヒシと伝えてくる。

300km/h超を体感したR35GT-R

300km/hで感じた「早送り」と「空気の壁」

 そして、タイヤ(とドライバー)が暖まったところで、恐る恐るアクセルを全開。富士の最終コーナーを3速ギヤで立ち上がり、直線区間では7500rpmを目安にシフトアップを繰り返す。コントロールタワー手前であっと言う間に6速に入ってしまい、気付けばスピードメーターは310km/hに到達!

300km/h超を体感したR35GT-R

 しかし、不思議と恐怖心は襲ってこない。ただ、見慣れたはずの富士のホームストレートの景色だけが、いつもの倍速で後方に吹っ飛んでいくような感じだ。1000psクラスともなると、3速、4速という高いギヤでの加速がノーマルの2速と同じくらいに感じる。さすがに6速に入るとその勢いは落ち着き、300km/hの領域では目の前に「空気の壁」が立ちはだかっていることが明確に感じ取れる。

300km/h超を体感したR35GT-R

 かなり長いはずの富士のストレート区間をこれまでに経験したことがないくらい早送りで駆け抜け、パナソニック・ブリッジを過ぎてから250m看板の50m手前くらいからフルプレーキングを開始。強烈な減速Gを伴って一気にスピードが削がれていく。車重が1.7t以上もあるクルマとは思えないほどグイグイ減速。エンジンパワーだけではなく、サスペンションやブレーキ系もしっかりと強化されているからこそ成せる業である。

300km/h超を体感したR35GT-R

ブレーキ強化やエアロパーツの恩恵を肌で感じる

 ちなみに、試乗車は「エンドレス」製のRacing MONO6キャリパーで前後ブレーキを強化済み。

300km/h超を体感したR35GT-R

 さらに、リヤにGTウイングを装着していることも減速時の挙動安定性に大きく貢献しているはずだ。300km/h超からのフルブレーキングでもフロントノーズだけがダイブすることなく、リヤ側もしっかりと路面に押さえつけられていることが伝わる。まるでクルマ全体が路面のアスファルトにめり込んでいくような強烈な感覚だ。300km/h超から確実に止めるには、徹底的にブレーキを強化しながら、それに負けない強靱なボディ剛性を備えている必要があるということだろう。

300km/h超を体感したR35GT-R

 全開1周目からいきなり300km/hオーバーの世界を垣間見たが、挙動があまりにも安定しているため、試乗前の緊張感から少しは解放された。実際に乗り込むまでは、いくらスリックタイヤとはいえ恐くて「踏めない」だろうと予想していた。しかし、実際にはVDC(車両安定制御装置)オフでもコーナーからの立ち上がりでリヤが暴れることもなかった。100kg-mを超える鬼のようなトルクを横方向に逃がすことなく、前に進むトラクションヘと変換できる。これぞ、アテーサE-TSを備えるGT-Rの十八番と言うべき走りだ。ちなみに、走行時にVDCをオフにしたのはあまりにもパワーがあり過ぎるためであり、オンのままで走行するとトラクションコントロールが効きまくってしまい、かえって走りにくくなるためだ。

300km/h超を体感したR35GT-R

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