高い実用性はもちろん運転しやすさも見逃せない!
今、コロナ禍ということもあって、密を避けたアウトドア、キャンプが大人気だ。キャンプ用品は売れまくっているし、TV番組ではキャンプ場の紹介が目白押し。これからキャンプを始めたいと思っている人も少なくないはずだ。そこで、今回はキャンプ初心者にもぴったりな新車のコンパクトSUVをピックアップしてみた。アウトドア、キャンプに似合うクルマの代表格がSUVだからでもある。
トヨタ・ライズ&ダイハツ・ロッキー
まずは、何と言ってもトヨタ・ライズ&ダイハツ・ロッキーの兄弟軍団だ。どちらもDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を使う基本骨格、98ps/14.3kg-mを発揮する3気筒1Lターボエンジン、D-CVT、最低地上高185mmのそこそこ本格的な悪路走破性などは共通。コンパクトなボディと視界、見切りの良さから、普段使いでの扱いやすさはもちろん、アウトドアシーンで狭い獣道を行くような場面でも、5ナンバーサイズの1695mmという車幅が絶対的な強みになるのだ。
5ナンバーサイズのコンパクトSUVだから荷室は狭そう……と思うのは早合点。荷室のフロアは幅1000mm、後席使用時の奥行755mm、後席格納時の奥行1330mm、天井高865mm(最小740mm)と、5ナンバーサイズのクルマとは思えない369Lの容量を誇る。なおかつ床下の買い物かご2個分の大容量アンダーラゲッジを含めると、なんと449L(2WD)もの広大な荷室空間となるから十分過ぎる。
また、2段可変式のデッキボードで荷室を上下2段に使えるほか、デッキボードを外せば、観葉植物のような背の高い荷物の積載にも対応してくれるのだから、アウトドアユースを含め万能な荷室と言っていい。荷室の開口部地上高が665mmと低く、小柄な女性でも重い荷物の出し入れはラクラク(本格SUVは700mm以上が多い)。買うべきグレードは174.5万円のX“S”(トヨタ・ライズ)以上のグレードで、お手頃価格なのもお薦めしたいポイントだ。
スズキ・クロスビー
キャンプ初心者、そして運転初心者というなら、スズキ・クロスビーもお薦めの1台。デビュー当時、「デカハスラー」と呼ばれたものだが、本格すぎるジムニーシエラまでは必要ないけれど、日常からアウトドアまで幅広く、快適便利かつ走破性を含め安心して使いたい人向けのコンパクトクロスオーバーモデルだ。
運転初心者向けの理由は、SUVならではの高めの着座位置と視界、そして5ナンバーでも全長3760×全幅1670×全高1705mmという車幅の狭さがもたらす運転のしやすさだ。アウトドアでは獣道のような狭い道を延々と走るシーンも想定され、コンパクトなボディ、ナローな車幅が威力を発揮。
悪路走破性に関わる最低地上高は180mmを確保し、28度のアプローチアングル、40.4度のデパーチャーアングルを備え、4WDモデルならかなり本格な走破力を可能にしてくれるのだから、アウトドア、キャンプ、雪道のアクセスには申し分なしである。
しかも、コンパクトなSUVでありながら、荷室の使い勝手に優れている点にも注目だ。荷室の開口部幅は1100mmと幅広く、大きな荷物を積み込みやすく(フロア地上高はやや高め)、フロアは後席使用時こそ525mm(後席スライド前端位置)だが、カップルの乗車で後席を格納すれば奥行は1165mmまで拡大。
幅は大型SUV並みの1305mmもあるから、アウトドアの荷物もたっぷり積み込める。さらに、ラゲッジ床下には2WDで81L、4WDでも37Lの収納がある。その部分のラゲッジアンダーボックスは取り外して丸洗いが可能で、アウトドアで汚れた荷物などを持ち帰る際にも重宝する。
スズキ・クロスビーが決定的にアウトドア、キャンプ向きなのは、HYBRID MZ、HYBRID MVグレード限定ながら、防汚フロア&防水加工シートが装備されていること。突然の雨で濡れたまま室内に入っても、あるいは雨に濡れていたり、汚れている荷物をラゲッジに積んでも心配無用というわけだ。マイルドハイブリッドのMXグレードで180.51万円からという価格も、お買い得と言えるだろう。
三菱エクリプス クロス
3台目に紹介するのは、ある意味、国産コンパクトSUV最強と断言できる、三菱エクリプス クロスPHEVだ。ボディサイズは全長4545×全幅1805×全高1685mmと、三菱自慢のAWDシステムを備えた本格SUVとしてはコンパクトで、最低地上高は従来からあるガソリン車の175mmに対して185mmにUPしている。
アウトドアやキャンプはもちろん、災害時にもうれしいアウトランダーPHEV同様のAC100V/1500Wコンセントを用意し、車内外で1500Wまでの電気を供給できるのだ。テント内外の照明点灯、家電品も使える給電も可能となり、かなり贅沢なキャンプが実現する(テントの横にクルマが止められる、電源なしのキャンプサイトの場合)。
ラゲッジスペースは後席使用時で奥行770mm、幅1000mm。後席格納時の奥行き1540mmとコンパクトSUVの平均的スペースで、PHEVの場合、フロアがやや高まっているため高さ方向ではやや不利になるものの(ゴルフバッグの積載性ではガソリン車が4個、PHEVが3個になる)、ちょっとした床下収納もあり、ライトなキャンプシーンでは十二分と言える積載性と言っていいだろう。
価格はガソリン車で約253万円~、PHEVになるといきなり約385万円~になってしまうが、PHEVはすぐそこに迫ったクルマの電動化時代にもぴったりすぎる1台となるだろう。長く乗るならPHEVである。
スバルXV
ちなみにキャンプも始めたい、SUVも欲しい、しかーし、自宅やよく使う駐車場の全高制限の関係で、背の高いSUVは止めらない……という人は、SUVを諦めるしかない……ということはない。そう、ハッチバックモデルのインプレッサスポーツをベースに全長4485×全幅1800×全高1550mmという、立体駐車場への入庫も容易なコンパクトかつ低めのボディサイズが与えられた真正クロスオーバーモデルのスバルXVがあるからだ。
最低地上高は本格SUV同等の200mm。スバル自慢のシンメトリカルAWD、さらに超本格SUVのフォレスターなどにも採用される、悪路からのスムースな脱出を実現する2モードのXモード(ヒルディセントコントロール付き)を備えるなど、見た目のスタイリッシュさからは想像もできない走破性の持ち主なのである。これならアウトドア、キャンプフィールドへ向かうにも敵なし(!?)である。
もちろん、アウトドア、キャンプ用品をしっかり積み込める荷室も備えている。基本的にはインプレッサスポーツ同等だが、フロアは奥行810mm、幅1090mm、高さ710mmと、コンパクトステーションワゴンに匹敵する広さを確保。カップルのキャンプなら、後席を格納することで奥行は1690mmまで拡大でき、積載力はさらに余裕を増す。
ちなみに、荷室フロアは開口部から70mmほど低くなっているのだが(段差があるという意味)、フロアボードの手前を持ち上げ、フックで固定すれば、段差がほぼなくなるアイデアも備えているため、重い荷物の出し入れも容易になる。
つまり、日常使いからアウトドア、キャンプシーンまで大活躍してくれるのがスバルXV。最新の先進運転支援機能であるアイサイトも全グレード標準装備となり、キャンプフィールドへ向かうロングドライブも安心安全。価格は220万円からと、装備、走行性能、安全性能を総合評価すれば、なかなかのお買い得モデルと言っていい。もっとも、個人的なお薦めは、濃厚、豊潤でトルキーな、極上のエンジンフィールを堪能させてくれるマイルドハイブリッドのe-BOXERを搭載したアドバンスグレードになるのだが……。