ロータリーの火はまだ消えていない
REを搭載した市販モデルがないとは言ったが、マツダではその後もREの研究開発は続けているようで、つい先日には電気自動車用のレンジエクステンダー(車載発電機)として、先ずはMX-30に搭載されることが発表されている。さらに水素を燃料とした水素REを搭載したRX-8ハイドロジェンREや、プレマシー・ハイドレジェンREなどが何度か話題に上ったことも記憶されている。 モータースポーツでの活躍が印象深いだけに、REをレンジエクステンダーとして使うことに少しばかり違和感が残るのは事実。しかし軽量コンパクトとスムースな運転は、REの大きな美点でありレンジエクステンダーには最適であることは間違いない。それ以上に注目されるのはハイドロジェンREだろう。先日、富士スピードウェイで開催されたN1耐久シリーズの第3戦NAPAC富士SUPER TEC 24時間では、トヨタが開発中の水素エンジンを搭載したカローラ・スポーツがレースデビュー。 MORIZOこと豊田章男社長自らステアリングを握り、24時間を走り切ったことは記憶に新しい。その会見場で章男社長は「カーボンフリーへの手段は電動化だけじゃない」とし、水素エンジンの開発に勢力を注いで行くとことを表明していたが、同じようにハイドロジェンREへの期待も高まっていくというものだ。
水素の燃焼技術を極めればロータリーにも可能性がある
そういえば、先週末にスポーツランドSUGOで開催されたスーパーフォーミュラのサタデーミーティングでは、TRD(現トヨタカスタマイジングデベロップメントのテクノクラフト本部)で長きにわたって、トヨタのレーシングエンジン開発を担当してきた永井洋治執行役員もこう語っている。
「カーボンニュートラルの答えはひとつではないと思っています。いろいろな手段でとにかくCO2を削減する。その達成手段としては、ひとつでは達成できないと思っています。
トヨタ自動車は水素に目を向けていますが、モータースポーツがやはり先陣を切ってやっていく。モータースポーツに導入すると開発のスピードが速いから、量産に役に立つ技術を我々がこのサーキットで技術開発をしながら争うというのが、カーボンニュートラルを加速させるのではないかと思っています」
モータースポーツファン、そしてクルマ好きには、まさに一騎当千のエールとなったことだろう。そう、内燃機関にはまだまだ可能性が残っている。ハイドロジェンREも、間違いなくそのひとつ。そう考えれば、マツダにはこれまで以上にREの研究開発に邁進してもらわなくてはならないと思う。