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「豆腐屋ハチロク」「白い彗星FC3S」「文太のインプ」! 本気過ぎる「イニシャルDレプリカ」大集合

頭文字Dレプリカが大集合!

この記事をまとめると

■頭文字Dは世界でも人気となっている走り屋マンガ
■マンガに登場する仕様を忠実に再現
■ハチロクやRX-7の人気は高い

世代はもちろん国境を越えて愛され続ける「頭文字D」の世界

 連載開始から数えること25年以上。2013年にストーリーが完結し、時代は令和になろうともファンの心を揺るがし続ける走り屋コミックの金字塔が、しげの秀一先生が描いた「頭文字D」(イニシャルD)です。

 国内版のコミック(ヤンマガKC)だけでも累計5000万部を超えており、特装版や海外向けの翻訳版などを合わせると、出版元の講談社ですら正確な数字が把握できないほどの凄まじい実績を打ち立てています。

 合わせてOVA(アニメのオリジナルビデオ)や劇場版アニメ、実写映画、アーケードゲームやゲームアプリ、スケールモデル、グッズなど、頭文字Dの世界観は二次元の枠を超え無数のコンテンツ&アイテムとなって世界中にあふれています。最近では群馬県の自治体が作品にあやかり“聖地”をアピールしつつ旅行客を呼び込む「アニメツーリズム」も仕掛けています。

 公道での縦横無尽なバトルがコミックの核でしたが、いまや「頭文字D」はもはや文化といっていいでしょう。25周年を記念したイベントやニューアイテムも登場しています。

「頭文字D」の作中レプリカ車がA PITオートバックス東雲に大集合!

 カーマニア間で密かに使われていた符号である車両型式をメジャー化したのもまごうことなき頭文字Dであり、それは源流の自動車メーカーにまで影響を及ぼし、ついにはトヨタ86としてFRスポーツが復活するという、まさにドラマが現実を動かしたという後世に残る展開も生みました。

 連載開始までは影が薄かった3ドアパンダトレノの人気もコミックの反響とリンクし急上昇。いまでは300万円台でも驚かないほどの神がかった相場で流通しています。もはや持っているだけで貴重な文化遺産。それだけ貴重なマシンを、さらに劇中に近づけるべく緻密にレプリカして楽しむという趣味があります。

 A-PITオートバックス東雲(しののめ)で行われている恒例イベント「第19回モーニングミーティング(6月29開催)」では、そんな車両たちで埋め尽くされました。

 ボディサイドに「藤原とうふ店」のデカールを貼った主人公・藤原拓海仕様のAE86トレノだけでなく、劇中登場の多種多様なマシンが集う様子は圧巻で、大都会東京の一角が「199X年の群馬県S市・秋名山」へ異世界タイムリープしていました。

 数年前までは、こうしたレプリカ車両に乗ることは亜流だった時代もありました。今ではパンダトレノのサイドにとうふ屋デカールがないと「ちょっと寂しいな」と感じるほどに時代の空気もすっかり変わりました。もはや大人の嗜みとして確立しています。

 そんな世界観で構築された、参加車両のを紹介していきましょう。

「藤原とうふ店」完コピ仕様【スプリンタートレノGT-APEX オーナー:にょ主サン】

 まずは定番中の定番である「藤原拓海仕様」。日本の頭文字Dファンだけでなく北米西海岸のJDM好きから中東・アジアの大富豪まで、全世界からニーズがあるのが拓海仕様。当然、日本のマーケットは草刈り場となっており、3ドアのパンダトレノは相当数、海外へと流出しています。

 当然ながら起こるのが相場の高騰で、この車両のオーナー「にょ主」サンも、買いドキを見極めるのがとても難しかったそう。しかし「今を逃すと、もう手に入らない!」と2020年に決断、購入したそうです。その陰には奥さんの後押しがあったそうで、1年経った今では、当時買った価格では探すことはできません。

 イタルボランテのステアリングに、ドリンクホルダーにはお約束の紙コップが備わる由緒正しきアーリー拓海仕様。しかしサイドデカールをよく見ればカーボン地だったり、大ファンのYouTuberたぬぐつサンのステッカーが貼られていたりと、レプリカ原理主義でないところが「にょ主」サンの頭の柔らかいところです。

プロジェクトD最終決戦仕様【スプリンタートレノGT-APEX/AE86 オーナー:れいなサン】

 少年マンガらしく、主人公・拓海の成長譚でもある「頭文字D」。ごく普通の高校生が走り屋として覚醒し各地の峠を転戦していくのにともない、マシンも勝てる仕様へと変化していきます。

 その進化版「プロジェクトD」の最終決戦仕様を標榜しているのが、れいなさんのトレノです。ストーリーに沿った5バルブエンジンに換装され、カーボンボンネット、ノーマルの面影を残さないメーターも忠実に再現しています。劇中ではチューニングを指揮した拓海の父親・文太が放った名台詞「1万1千回転まできっちり回せ!」がありますが、現実的にはこのマシンのレブは8800rpmに設定されています。床の間に飾るのではなく日々しっかり乗っているゆえエンジンは3基目という本気仕様です。

声マネもコンプリートする高橋涼介仕様【RX-7/FC3S オーナー:メカニック石井サン】

 群馬エリア最強のチーム「赤城レッドサンズ」を率いていたのが高橋兄弟。資産家のエリート一家であり、ふんだんにおカネを投下し最強のチームを作ろうとしていた。そんな兄の涼介の乗っていたのがFC3S RX-7でした。ムキムキの胸筋に低音ボイスという、まるで涼介なコスプレで参加していたのは「メカニック石井」サン。

 クスコのオフセットナンバーステーやRE雨宮のエアロミラーなどきっちりと実車を再現しつつ、諸説あるマフラーのテールエンド形状は、新劇場版に登場する仕様に寄せています。

極上S13を2台持ちするイチサンマニア【シルビアK’s/S13 オーナー:中村幸祐サン】

 拓海のバイト先のSSの社員だった池谷パイセンが乗っていたのがS13シルビア。峠でのバトルに拓海を引き込んだきっかけとなった重要なキャラでした。現役当時から走り屋に愛されたS13ですが、それゆえ現存する程度良好な個体はほぼないといっていいでしょう。

 しかし、この中村幸祐サンの所有する車両は、このままディーラーのショールームに並んでいても不思議でないほどの美麗なフルノーマル車。聞けば部品取りを含め複数台を所有する大のシルビア好きでした。

フルノーマルにこだわった「黒い彗星」【RX-7 GT-R/FC3S オーナー:内田 亘サン】

 もはや現存することが奇跡のような極上フルノーマルの個体を半年前に手に入れたばかりなのはオーナーの内田 亘サン。オーディオのみスマホリンクのユニットに換装した以外は当時感をキープ。

 拓海とのバトルで一度は負けたとはいえ、気持ちを切り替え裏方に回り拓海を支える立場になった高橋涼介の漢気をリスペクトしています。

もう1台のハチロク「秋山レビン仕様」【カローラレビンGT-APEX/AE86 オーナー:大谷貴博サン】

 頭文字Dには、拓海のトレノのほかにAE86が2台登場しています。その1台が、秋山 渉(あきやま・わたる)の乗るレビンです。過給機チューンにこだわっておりターボのみならず、スーパーチャージャー(なぜかインタークーラーレス)で武装していました。

 そんなストイックな秋山に惹かれレプリカしているのが大谷貴博サン。父親から譲ってもらったレビンを、スポイラー一体のリヤゲートに換装し秋山仕様に。今後はフロントバンパーの白黒2トーンをより原作に忠実に塗り分けたい意向とのこと。履いているのはドリドリメッシュでですが取材当日、偶然にもドリキン土屋サンと遭遇して驚いていました。

コーナリング速度こそ正義! 拓海が苦戦した【カプチーノ/EA11R オーナー:池内 潤サン】

 劇中では、ラリードライバーの坂本が乗るスズキ・カプチーノ。格上のライバルマシンと闘ってきた拓海が、その軽さゆえのコーナリングスピードの速さに攻略を手こずったシーンが印象的でした。結果として拓海は勝ったものの勝負ドコロはパワー差を活かしたストレートでの勝負ということで、若干の消化不良もあった対戦ではありました。

 新車で売っている頃から憧れていたオーナー池内 潤さんはこのカプチーノに11年前から乗っています。ここ1、2年でだんだんとパーツ供給の雲行きが怪しくなっているのが悩みのタネです。

Forth Stageの文太仕様【インプレッサWRXタイプR STiバージョンV/GC8 オーナー:高橋 忠サン】

 埼玉から参加した高橋 忠さんが乗っているのは、拓海の父親、文太のGC8インプレッサです。いまや拓海がバトルしたライバル車両だけでなく、このような「身内」の車両のレプリカもポピュラーになりました。楽しみ方の多様性を象徴しています。

 コミックとOVA版ではボディカラーが異なっているのですが、高橋さんが目指したのは「頭文字D Forth Stage」仕様。チェリーレッドの六連星フロントエンブレムと、フォグカバーのSTIロゴが特徴となります。ベースはWRXタイプR STiバージョンVですが、ほとんどが22B風に改造されてしまうケースが多く、程度のいいクーペを探すのに苦労したそうです。

 友人の、パンダトレノにのる群馬県在住「空っ風」さんと「藤原親子ミーティング」をしながら過ごすのも至福の時です。

 当たり前ですが文太がいなかったら拓海はこの世にいないし、豆腐屋の配達を手伝わせなかったら関東に名を轟かすドライバーにもなれなかったはずで、文太の存在はあらためて大きいと感じます。ストーリーの途中ではトレノからGC8に乗り換えるかのような「匂わせ」もありましたが、そんな「たられば」を想像するのも楽しいですね。何度噛んでも味がするのが「頭文字D」の世界なのです。

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