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8000rpmまでギンギンに回るテンロクVTEC! F1を制覇したホンダの名機「B16A」を振り返る

名車に名機あり! ホンダといえばB16A!

RB26DETTに13B、SR20DETや4AG。どんな時代も名車には代名詞といえるエンジンが搭載されていた。かつてのホンダでは1600ccの「B16A」が名機として名を馳せた。多くの走り屋が憧れたり好敵手として戦った、今でも高い人気を誇る名機「B16A」の歴史などを紹介しよう!

VTECを初採用しライバルを圧倒した

 現在40~50代の人にとってはリアルタイムで凄さを目の当たりにし、若いクルマ好きも名前は聞いたことがあるであろうホンダのエンジン「B16A」。1600ccのNAながらクラス最高峰の1L当たり100psを誇り、グループAやN1耐久といった全国を転戦するレースから、草レースや峠でも無類の強さを誇った。

 ホンダ独自の可変バルブタイミングリフト機構、通称「VTEC」は高回転と低回転でカムを使い分け、ライバルのNA勢を寄せ付けないパフォーマンスを発揮。VTECが初めて採用されたのもB16Aだ。開発の歴史から振り返ってみたい。

 そもそも可変バルブタイミングリフト機構は、燃費を向上させることが最大の目的だった。しかし研究が進むにつれ燃費とパワーを両立させるノウハウが確立された。当時の1600cc NAエンジンが120~130psである中、160psの脅威的な馬力、そして最高許容回転数はレーシングエンジン並みの8000rpmを達成。高回転域のパンチはモチロン低~中回転域も扱いやすくトルクフルで、ライバルと肩を並べるどころか追随を許さないといえるほどのスペックだった。

インテグラやシビックに搭載して若者が支持

 そんなB16Aが初めて搭載された市販車は、2代目となるDA6型インテグラでグレードはXSi。続いてEF9型のシビックやEF8型のCR-Xにも採用され、ライバルだったレビン&トレノやミラージュを突き放した。続いて1991年にフルモデルチェンジしたEG6型シビックでは、170psとさらに進化を遂げ同排気量の1600ccクラスどころか、軽さも手伝って2000ccターボと遜色のない速さをみせることも。他にEG2型CR-Xデルソルや4ドアのシビック・フェリオ(型式はEG9)、1995年にデビューしたEK4型のシビックにも引き継がれた。

 シビックを筆頭とするB16Aを搭載したマシンが大人気となった理由は、エンジンだけじゃなく手頃なサイズや高い完成度のダブルウィッシュボーン式サスペンション、そして小排気量だけに当時の若者でも手が届く価格帯も大きいだろう。参考までにEG6シビックSiRⅡの価格は163万8000円、SR20DETを積むPS13シルビアK’sは213万5000円、RB26DETTのBNR32スカイラインGT-Rは529万円。サーキット用にライトチューンしてもシルビアと同等、本格的なレースカーを作ってもスカイラインGT-Rの新車より安い。細かいことまでいえば自動車税や重量税もリーズナブル。

 タイヤは15インチで済むし、軽いがゆえに摩耗の面でも有利。お金のない若者がウデを磨くにはピッタリの素材でありつつ、アクセルを踏めば1600ccであることを忘れてしまう力強さ。多くの高性能モデルが群雄割拠していたテンロク全盛期において、エンジンに関してはB16Aが頭ひとつ飛び抜けていたといって過言ではない。

チューニングも盛んで今なお人気の名機

 多くの走り屋に愛されたこともあって、チューニングも盛んに行われた。エアクリーナー/エキゾーストマニホールド/マフラーの「三種の神器」に加え、内部に手を加えて排気量アップや10000rpmに迫る高回転仕様、純正パーツをN1レースの規定で組み直した超精密エンジンなど、ドライバーだけじゃなくチューナーにとってもB16Aは魅力的な素材だった。

 話を歴史に戻して最後の1600ccシビックとなった、EK9型シビック・タイプRでは「B16B」として185psにまでパワーアップ。それより少し前に発売されたDC2型インテグラ・タイプRの、1800ccで200psの「B18C」をEG6にスワップするメニューも、公認車検を取得する必要はあるものの定番といえるだろう。走りのホンダというイメージを全世界へ植え付け、1989年の鮮烈なデビューから32年が過ぎた現在においても、まったく輝きが色褪せることなく、人気も衰えないB16A。

 VTECを初めて採用したことやレースでの華々しい活躍、そして多くのドライバーを育てつつ記憶にも残る名機として、連綿と続く日本の自動車史に名前を刻むエンジンだと断言したい。

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