進化型セリカ、さまざまなゴージャス装備も盛り込まれ
ちなみに搭載エンジンは、当初2.6Lの4M-EU型(140ps/21.5kgm)と2LのM-EU型(125ps/17.0kg-m)を設定。5速MTのほかに当時はまだ進歩的だったオーバードライブ付きの4速ATを設定した。今回写真でご紹介しているカタログは、おそらくXXのデビュー当時にディーラーに足を運んで貰ってきたもののようで、昭和53年9月のトヨタ西東京カローラの価格表が挟んであった。
それを見返して驚いたのだが、セリカXXの東京店頭渡し現金価格は、2Lの“S”で5速MT160.6万円、4速ATで167.3万円とあり、同じ価格表に記載のあるセリカLB 2000GT(5速MT)の171.0万円よりも安く、MT同士でいえば1600GT(159.3万円)ともほとんど変わらなかった……という事実。当時の筆者は買うつもりではなく、いかにも冷やかしでカタログをもらいに出かけ、値段など真剣に見ていなかったことがバレバレだが、43年目にして今回カタログを開いたら、そんなことが発覚した。
実車は、筆者の友人だったK君が渋いマルーンの2Lに乗っていたので、隣に乗せてもらった憶えがあるが、パワフルというよりも悠々とした走りっぷりが印象に残っている。サンルーフがついていたが当時はまだ手動で「へぇ、手で回して開け閉めするんだぁ」などと何も考えずに言ってしまい、今思えばオーナーのプライドを少なからず傷つけていたかもしれない。
室内スペース自体は4気筒のセリカLBと変わらなかったが、モケット(ワインではなく落ち着いたブラウンだった。オプションでコノリーのレザーシートの設定もあった)のシートやインパネの水晶時計、センターコンソールの中から出して使うカールコード付きのマップランプ、停止位置から1段起き上がって作動するワイパーなど、雰囲気から装備まで無言のうちに“大人のクルマ”を実感させてくれた。 そういえばカタログの外観写真にはなぜか常に、クルマの横に脱いだ状態のシャルル・ジョルダンのハイヒールが置かれていた。べつに駐車場で脱いだまま置き忘れたというストーリーではなかったはずだが……。
それからもうひとつ、カタログのどこにもエンジンやメカニズムを紹介したページが見当たらないことに改めて気付いた。あるいは1色刷りで別の冊子が挟み込んであるなどしたのかどうか、記憶は定かではないが、初代セリカXXとはそういうクルマだったのである。