R35から流用可能な純正部品:イグニッションコイル
さらにイグニッションコイル。ハイパワー化に伴い、空気も燃料もたっぷりと取り込んだ状態はとても火が付きにくい。そんな失火しやすい混合気には強い火花で挑むのが一番。R35用のイグニッションコイルはRB26用に比べてより強力な火花が供給できる。
電流の量を決める通電時間をクルマの仕様に合わせて変えれば、さらに点火の頼もしさが倍増する。
R35コイルの流用も裏技だが、点火系にはさらなる裏技も存在する。かなりハードなチューニングを施してR35用よりも、もっと強力な火花が欲しいというような少数派ユーザー向けの情報だ。
使うイグニッションコイルはBNR32からBCNR33前期に採用されていたもの。このタイプはイグナイターがイグニッションコイル本体には装着していなくて外付けされている。本来は外付けされた大きなイグナイターひとつが各気筒の6個のイグニッションコイルを担当しているが、そうせずに負担を減らして効率を上げるためにRB20DE用の外付けタイプながら小ぶりなイグナイターを贅沢にも各イグニッションコイルにそれぞれセットして使う。こうすれば手間はかかるが効果は絶大だ。R35用はイグニッションコイルとイグナイターが一体なのでこの手法は使えない。
R35から流用可能な純正部品:ブレーキ
エンジン系以外では、ブレーキシステムの流用がある。BNR32の純正はフロント側が4ポットキャリパーでローターは296φ。リヤは2ポットキャリパーでローターは297φ。第2世代のブレンボだとフロントが4ポットで324φ。リヤは2ポッドで300φ。
それに対してR35用は前期モデルでフロントは6ポッドで380φ。リヤは4ポッドで380φ。その差は歴然だ。 しかし気にすべきポイントもある。R32やR33に装着した場合はサイズアップしたキャリパーにマスターシリンダーの容量が追いつかずにブレーキング時にペダルがイメージ以上に奥に行ってからキャリパーが反応する。このフィーリングはいただけない。小気味良いタッチを味わうには容量の大きなR34用の純正マスターシリンダーに交換することが大前提だ。
それとリヤ側に設けられているサイドブレーキ用のドラム部分も大き過ぎて、サイドブレーキのレバーを目一杯引いても効きにくくなってしまう。だからドラムを小さくする加工も必要になる。
頭に入れておきたいのがブレーキ流用後のホイール選びだ。大きくなったブレーキには18インチが最低条件でありであり、それでも履けないホイールも出てきてしまう。ビッグキャリパーに合わせて内側の逃げを考えた形状のものでないとクリアランスが確保できずに入らない。
まとめ:単純に装着すればOKではないがメリットは十分ある
というようにR35流用はどれも単純に付け換えて終了、とはいかないものばかりだ。しかし工夫しなければいけないからこそ効果も高いという考え方もある。作業はGT-Rのチューニングに精通しているプロショップで行なって、メリットを存分に引き出してほしい。