スーパーカー消しゴムには3種類存在した
一口にスーパーカー消しゴムといっても3種類存在していた。ここではそれらについて紹介をしていこう。
粗彫りシリーズ
最初期モノは「粗彫りシリーズ」と呼ばれている。その主な特徴は、漫画「サーキットの狼」に登場するクルマたちをしっかり網羅していたものの、残念ながら実車にまったく似ていなかった点に集約される。
おそらく、まともな原型を作ることなく、関係スタッフの勢いだけで製作・販売したのだと思われる。似ていないうえに裏面に刻まれた車名が間違っているモノや何を題材にしたのかわからないモノまで存在し、旧き佳き時代の“ユルさ”を今に伝える逸材だといえる。
精緻モノ
粗彫りシリーズ(最初期モノ)の後にリリースされ、カー消しが大流行するきっかけとなったのが「スーパーリアリズムシリーズ」だ。これは、精緻モノと呼ばれるもの。
ディテールを追求する気がゼロだった最初期モノでの反省を踏まえた(?)のかは不明だが、とにかくスーパーカーならではといえる美しいプロポーションが驚くほど忠実に再現されていた。ポルシェおよびBMWを例外として、イタリア車をメインの商材として展開された。
ペったんこモノ
スーパーリアリズムシリーズ(精緻モノ)が子どもたちの間で一般化した後、商魂たくましい大人たちによって生み出されたスポーティなカー消しが「フラットボディシリーズ」だ。これは、ペったんこモノと呼んでいる。
前身となったスーパーリアリズムシリーズにおいてスーパーカーブームを代表する車種がすでに出揃っていたので、当シリーズではマニアックなクルマも題材となった。
それまでのカー消しよりも材質が若干軟らかかったため、机上でのグリップ力が強く、当シリーズの登場によって速く走らせるための改造が本格化したといえる。
そして、フラットボディシリーズの発売後、スーパーカーのプロトタイプショーモデルのような超マニアックな車種を再現した透明なカー消しも市民権を得て、通常バージョンと同じように著しく発展した。
その後、国産車、デコトラ、はたらくクルマ、そして、戦車などを題材としたカー消しも大量に登場し、その全体像を誰も把握できない状況となった。
なお、透明なカー消しが一般化したタイミングで、色を塗る、という世界において、ひとつのセオリーが生まれた。それは何かというと、カー消しのウィンドウ部分を“そのままにする”ことでガラスを表現できるようになったので、何も塗らずに残すことがヨシとされたのだ。
また、そういった流れと並行して、成形色のままとなっているカー消しを塗る際にはウィンドウ部分をシルバーにすればよし、ということも子どもたちの間で暗黙のルールとなり、積極的に実践された。