本当にワンポールテントの設営は簡単なのか?
ワンポールテントとは、1本のポールで居住空間を生み出すテントのこと。地面に幕体(インナーテントやフライシートなどのテント生地)を広げてペグで固定したら、内側からポールを突き上げるだけでよく、複数のポールをどこにどういう具合に幕体に通すかを考える必要はない。これがワンポールテントの設営が楽と言われる所以だ。
2007年頃から海外ブランドの軽量ワンポールテントが日本のキャンプ場でも話題になり、2009年に日本の気候を考慮した国産ワンポールテント、ピルツが登場。以降、いまでも根強い人気を誇っている。
ワンポールテントの特徴その1:「軽くてコンパクトに収納ができる」
ドームテントは2本以上のポールを使ってしなりを利用して空間を生み出すのに対し、ワンポールテントに必要なのは直線的なポール1本だけ。幕体だけを持ち運んで、手持ちのトレッキングポールや現地で調達した木や竹をポールに見立てる人も珍しくない。
そのため同じ素材の幕体で収容人数が同じテントであれば、ワンポールテントのほうが軽く、コンパクトに収納できる。これがワンポールテントの大きなメリットといえる。
ワンポールテントの特徴その2:「真ん中にポールがある」
ワンポールテントは古来より北米の平原で使われてきたティピーによく似ているが、ティピーは何本もの長い木を円錐状にまとめ、それに幕を巻きつけている。ティピーのポールは周囲に並んでいて室内を自由に行き来できるが、ワンポールテントは真ん中にポールがあるという違いがある。
このポールが意外とテント内の移動やレイアウトの邪魔になるのだが、大きめのワンポールテントであればポールにハーフインナーテントを吊るし、残りの半分を土間にするというデメリットをメリットに変える使い方ができる。
ただしワンポールテントはその構造上、テントの中心部分は手が届かないほど高くても、端にいくほど背が低くなる。端のほうに座ると圧迫感があるし、不意に幕に触れて結露で衣類が濡れることも。また、背が低くて床面積が広めのワンポールテントは、出入りのたびに地面近くにあるファスナータブを掴むためにしゃがんで腕を伸ばす必要がある。晴れている日ならちょっと面倒だと思うくらいですむが、結露や雨で濡れた幕体に腕や肩が触れると不快だ。
そのため最近は張り綱や軽い補助ポールを用いて地面近くが垂直になるよう工夫したものが増えている。補助ポールを使うものは厳密にはワンポールとは言えないが、居住性は格段によくなる。