閉鎖のない開放道! 感無量だが恐ろしくもあり
当時、サファリを除くWRCイベントのすべてが完全閉鎖のSS(スペシャルステージ)で構成され、SSラリーは完全防備のヘルメット、レーシングスーツである。
しかしサファリだけは競技ステージが長すぎてクローズドできないためにSS制ではなくTC(タイムコントロール)制で開催されていたのだ。アフリカならではの特殊な形態だ。
TC制とは「一般道を走行する」という意味なのでヘルメットも何もいらない、という規則の上に成り立っていたのだ。危険極まりないが、あの頃は誰もが納得していたのだから恐ろしい。
このように今と以前のサファリは激しく違うのだから、WRC復活開催となった今年のサファリに対する、こんな短いサファリは‘あーだ、こーだ‘という議論は無意味なのである。
次回はサファリ・ラリー独特であったTC制ならではの、だからこそ出来た事、起きていた事をお伝えしよう。クワヘリ!(スワヒリ語でバイバイ)
執筆/三好秀昌
ラリードライバー、フォトグラファー。1990-1994年まで篠塚建次郎選手をドライバーとする三菱ラリーアートのチームマネージャーとしてサファリ・ラリーに関わってもいる。自らもスバル・インプレッサのドライバーとして1995、1996(WRC)、1999(WRC)年参戦。1995〜96年2年連続サファリ・ラリーでグループN優勝。2007〜08年、アフリカ選手権サファリ・ラリーに三菱ランサーエボリューションのドライバーとして参戦。2008年FIAアフリカ・ラリーチャンピオン獲得。5回のサファリ・ラリーでは完走率100%。親しみあるショットの動物写真家でもある。 1995年三好秀昌選手サファリ・ラリー・グループN優勝時の表彰シーン、半ズボン半袖で競技していたことが分かる。