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往年の「ラジコン世代」にドンピシャ! 手のひらサイズのRCカー「ミニッツ」が今注目の理由とは

親子で楽しめる1/27スケールRCカーのミニッツ

リターンレーサーが増殖中! 親子で楽しめるモータースポーツ

 40代の団塊ジュニア世代にとって少年時代のRCカーは、少し早い青春の1ページだったに違いない。TVでは全国各地で開催されたレースイベントを収録した番組が放送され、親に何度も「買ってよ!」とせがんだものだ。

 あれから40年、いまではすっかりRCカーとは疎遠になってしまった人も多いことだろう。若いころは運転免許を取得して、80~90年代に登場したボーイズレーサーを手に入れて峠やサーキットを駆け抜けた青春の日々。

 いまでは家庭を持ってすっかりミニバンの運転手を務める、幸せだけど刺激の少ない日常に少し飽きてきたりもしている。そんな人たちにオススメしたいのがステアリングをプロポのハンドルに持ち替えて遊べるMINI-Z(以下、ミニッツ)だ。

CARトップ 2018年6月号/7月号/8月号 加筆/再編成

1999年末に1/28スケールの本格派RCカーとして登場!

 京商からミニッツが発売されたのは1999年12月。記念すべき初代モデルの「MR-01」は1/28スケールで登場。2005年に絶版となるが、その後、「MR-02」「MR-015」「MR-03」(一部割愛)とシャーシが進化。より実車に近い、リアリティに溢れたドライバビリティで子どもから大人までが夢中になれるRCカーとして、日本だけにとどまらず世界中で多くのファンから愛されている。

 ちなみに現在の主流シャーシである「MR-03」(1/27スケール)の全長は120~130mmほど(サイズはボディによって異なる)。ミニッツシリーズの駆動方式は多彩で、「RWD」(後輪駆動)、「AWD」(全輪駆動)、「FWD」(前輪駆動)をそれぞれラインアップする。

さび付いた腕を磨くために愛息と一緒にミニッツに挑戦!

 見た目が手のひらサイズなので、さぞかし操縦は簡単だと思ったら大間違いなのがミニッツ。トイショップで売られているトイラジコンとは異なり、その走りは1/10スケールの本格派RCカー譲り。車体がコンパクトゆえに体感速度は450km/h以上(実測最高速約17km/h)とも言われている。実際にプロポを手にして走らせてみると、RCカーで遊んだ子ども時代の腕は鈍り、コーナーひとつ曲がることはもちろん、真っ直ぐ走らせることすら難しいと感じた。

 ただし、これはトレーニングを積めば解決できる。それを実証するため、筆者がアイルトン・セナの名前を授けた息子の「聖那」(当時、小学3年生)と一緒に、京商が主催するミニッツカップ参戦を目指した親子のチャレンジ物語をお届けする。

ミニッツのスターターキットといえる「レディセット」を購入!

 まず最初のステップはマシンの購入だ。東京・お台場の「京商ビレッジ」で好きなモデルを選ぶことにした。マクラーレンP1やアウディR8 LMS 2015など、スーパーカーに目移りする父親には目もくれず、聖那が手にしたのは「日産GT-R(R35)」のレディセット(RWDシャーシ)。国産市販車最速モデルの1台である、GT-Rを選ぶとは正直驚かされた。 ちなみにレディセットは、工場完成シャーシ/プロポ(2.4GHz送信機)/オートスケールコレクションのボディ(ボディ・ホイール・タイヤなど)をワンセットにした製品で、バッテリーとなる単4アルカリ、もしくはニッケル水素電池4本を用意すれば、すぐに走らせることができる。もちろんボディは塗装済みなので、クリアボディを塗装やデカールでデコレーションする必要がないのも手軽に始められる魅力のひとつ。さらにサイズに似合わずの本格派RCカーでありながら、1万5000円~3万円の価格帯で購入できるのもうれしい限りだ。

短期間で腕を磨くならサーキットデビューがオススメ!

 早速、帰宅して「走り込むゾ!」と意気揚々の聖那だったが、ミニッツは屋内使用が基本だ。京商から専用マットを屋内に敷き詰めるタイプの組み立て式サーキットも用意されているが、約1カ月半後に迫る「ミニッツカップ関東大会」のイベントに組み込まれたエンジョイランに参戦するには、短期間で経験値を上げるために吉祥寺サーキットで走り込むことにした。

 このサーキットは7つのコースを併設しているため、さまざまなコースレイアウトで特訓できることで、短期間で腕を磨くには最適のコース。ビギナーには、レクチャー付きレンタルカー(15分/770円)で試走することができ、ミニッツ購入を検討している人にもオススメのRCカーサーキットだ。

 これまでRCカーに触れたことがなかった聖那だったが、ほぼ貸し切り状態のコースを水分補給の休憩以外ひたすら走り込んだ効果があってか、何度もコースアウトやスピンはするものの、自分に向かってミニッツが走ってくる状況(ハンドルを切る方向が実車とは逆になる)でも、迷うことなく操縦することができるようになった。

 これは大きな進歩。少しスロットルを開けすぎる傾向があったので、プロポでスロットルの感度を少し緩慢に調整、走りやすくセットアップした。さらにスロットルレバーの後ろ側に消しゴムを挟むことで、物理的なリミッターを急ごしらえ。そうすることでミニッツの挙動は落ち着き、コントロールしやすくなった。約3時間の走り込みを終えたころには、すでに基本的な操作を習得。運転免許で言えば仮免取得ぐらいの状況にまで急成長できた。

遊びの範疇を飛び越えて真剣勝負することがスキルアップにつながる!

 いよいよミニッツカップ関東大会の日。会場は横浜にある日産グローバル本社ギャラリーだ。もちろんミニッツカップに参戦するエントラントや大会の観戦者で、会場の熱気がムンムンのなか、持ち前の物怖じしない性格が功を奏したのか、緊張した様子は微塵もない。

 ところが吉祥寺サーキットのコースからさらにコース全長が延び、難易度が増したことに少し驚いた様子。本番のエンジョイランを前に基本に立ち返るため、「ゆっくり前進して、ゆっくりミニッツを止める」という丁寧な操作を繰り返すことで身体に覚え込ませ、高揚した気持ちの焦りを沈めるとともに急な操作になりがちだったスロットルとハンドル操作を修正した。

 いざ本番。フリー走行とはいえミニッツにトランスポンダー(計測器)を取り付けて、合計4回のエンジョイランを走行。一緒にコースを走った経験豊富な参加者の走りに気圧されながらも、「少し緊張もしたし、コースが難しくてうまく走れなかったから悔しい。でも速い人たちの走りを見て、自分もあんな風になりたい!」と気持ちを切り替えて、自宅のリビングにミニパイロンを置いて練習に励んでいる。

 ちなみに筆者もエンジョイランを走ったが、久々のRCカーに苦戦しきり。走るシケインと揶揄されるぐらいならましで、まさに弾丸ロケット。イン巻きならまだしもアウト巻きしながら全走行を終えたものの聖那に完敗。

 息子に負けた悔しさもあったが、すぐに不貞腐れたりすることなくやり遂げたことに驚きと成長を感じながら、いまでも親子でミニッツを楽しんでいる。

スポーツカータイプのほか4×4やレーシングバギーもラインアップ!

 ミニッツに触れてわかったのは、eスポーツと同様に完全なモータースポーツだと言えること。もちろん運転免許を所持する必要もないし、レーシングカートのようにエントリーカテゴリーでも莫大なお金がかかる訳でもない。ミニッツならお手軽に親子で修練に取り組んだり、時にはライバルとして真剣勝負することができる。

 また、駆動方式の違いだけじゃなく、エキスパート向けの送信機が選べるレシーバーユニット別体型のシャーシセット「MR-03EVO」シリーズを頂点に、ボディバリエーションのひとつとして「MINI-Z 4×4」(1/18スケール)もラインアップ。ボディはスズキ ジムニーシエラとトヨタ4ランナー(ハイラックス)が用意され、走破性を追求した超ローギアを可能にするメインギアユニットを搭載するなど、こちらも本格派だ。

 ほかにも走る場所を選ばないミニッツバギーは、1/24スケールながらギヤボックスを密閉タイプにするなど、ゴミやホコリの侵入をシャットアウトした防塵構造で、屋内はもちろん屋外にジャンプ台を作ってエクストリームな走りを楽しむこともできる。

 家庭のなかで虐げられがちなお父さんが、急にRCカーを購入してひとりで遊んでいたら奥さんから冷たい視線が突き刺さること必至だけど、それが子どもと一緒となったら咎められることはないはず。しかも、コロナ禍でおうち時間がふんだんにあるなかで、親子で一緒にRCカーを嗜んでみるのはいかがだろうか!

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