「チューニング=壊れやすい」の常識は誤解
チューニングすれば寿命は短くなる。よく耳にする世間での「常識」だ。フルノーマルに比べれば、パフォーマンスを上げたぶん、劣化はシビアに考えなければいけないように感じる。しかしGT-Rを中心にあらゆる車種を手掛けた老舗ショップ『関西サービス』の向井敏之代表は、この一般論に異を唱える。チューニングカーと長く付き合うための方法とは何か? R32GT-Rを例に考えてみたい。
長期間放置が不調の原因になることが多い
チューニングカーは壊れやすい。長く乗り続けるためにはノーマルが一番だ。そう考えている方が多いと思う。実際、無理なパワーを手に入れれば、クルマに負担が掛かるだろう。しかし、適切なチューニング、そして正しい付き合い方をすることで、カスタマイズしたクルマに長く乗り続けられる、と向井代表が語っている。
「むしろノーマルでそのまま長期間置いておくほうが調子の悪いクルマは多いです。エアフロがおかしくなって吹けなくなったという問い合わせも増えました」ここでは、BNR32をデモカーではなく自らの愛車として乗り続けている向井代表だからわかる、コンディション維持について語っていただく。
まず、チューニングの有無は関係なく、長期間乗らずに放置した場合、オイル類が全部下がり、バッテリーも弱る。そして次に動かそうと考えたときにはプラグが被ってしまったりという不具合が出るのだ。本来は1週間に一度は動かすのがベストだが、いろいろな事情でそれが叶わない場合、まずは乗り終えたところから注意を払わなければいけないと向井代表は話す。
「エンジンを止める際に、バンバンとアクセルを煽る方がいますが、そんなことはせず、普通にイグニッションをオフにしてください。昔はキャブ車など煽った状態でエンジンを止めることもありましたが、それはGT‒Rにとっては逆効果です。燃料が濃くなってしまい、プラグにもマイナスです。そして、長期間動かさないなら、降りると同時にバッテリーのマイナス端子を外すことです」