ロリンザーエンブレムの由来は「紋章」
メルセデス・ベンツはクラスの幅が広がったぶん、それぞれの個性化が十分行き届かなくなっている。その中でロリンザーとしては、各モデルに乗っている人それぞれにプライドと満足を与えるのが使命だというのだ。そういった目でロリンザーが手掛ける各モデルを見れば、確かにまったく別の表情を発見できる。CLSはその流線形を活かし、ボトム部が作り出すキャラクターラインも前後へ流れる風を感じる。
実際にステアリングを握らせてもらったが、アウトバーンでなくとも、流れに合わせてアクセルを踏むだけで気持ちが高揚する。これは各部のチューニングによる恩恵だけではなく「ロリンザーメイド」に乗っている、そしてそれを羨望の眼差しで見られるというメンタル的な喜びも多分にあったと思うのだ。
SL500ロードスターは、フェンダーまでカスタマイズすることで、美しいワイド&ロースタイルを手に入れた。そして堂々としたフロントマスクのセンターに輝くロリンザーのエンブレム。確かにこれは純正では得られない喜びをもたらしてくれる。ちなみにこのエンブレムは世紀から続くロリンザー家の紋章から作られたもの。本来なら太陽と川と月がデザインされていたところ、川の部分をタイヤ跡に変えたそう。Tシャツやグッズなどのコレクションには以前から使われていたが、2010年くらいからクルマのエンブレムとしても使用するようになった。ユーザーから「もっとロリンザーのクルマに乗っていることを表現したい」と要望があったためだと言う。
メルセデス・ベンツとの関係は今後も変わらず
ほぼメルセデス・ベンツオンリーでやってきたロリンザーにおいて、より幅広いメーカーへの展開は考えていないのだろうか。
「ロシアのディーラーからの要望でインフィニティを少し手掛けましたが、われわれはあくまでメルセデス・ベンツという大きな柱を変えるつもりはありません。ディーラーを含め長年寄り添ってきたことで、どこがよくでどこが悪いのか、すべてわかっているのです。だからチューニングに関しても間違うことはない。あれこれ手を出すチューナーもいますが、われわれは今の姿勢を貫いて行きたい」
ドイツにおいてメルセデス・ベンツのディーラーとチューニングの両方を展開しているのはロリンザーのみだそうで、その強みと責任をしっかり感じているのだ。エクステリアだけでなく、ハイパワーチューニングも手掛ける。そうしてメルセデス•ベンツの魅力を存分に引き出していくのがロリンザーだ。老舗という立場に満足するのではなく、今後も進化を求め、ロリンザー伝説はこれからもまだ脈々と続いていくのだ。