車中泊にオススメの4台をピックアップ
こんな時代だから新車は買えないけれど、パーソナルな移動手段、そしてパーソナルに旅を楽しめる車中泊に向くクルマをリーズナブルに手に入れたい、そう思っている人は少なくないだろう。そこで、室内が広くて、シートアレンジによって大人が横になれるようなクルマが予算30万円ぐらいで手に入るかを検証。
すると、激安車中泊カーと呼べる魅力的な中古車が、選び放題にあるではないか! もちろん、今、乗っても極端に古臭く感じさせないデザイン、これからしばらく乗り続けられるであろう、走行距離10万km以下のクルマたちである。
トヨタ・ポルテ
年式的に見て比較的新しいクルマとしては、すでに生産終了となっているコンパクトカーのトヨタ・ポルテがある。なんと2012年~2020年まで生産されていた2代目の初期モデル、2013~2015年型が、予算30万円前後で手に入るのだ。
後席格納時の拡大荷室奥行は約1635mm。これだと小柄な人でないと真っすぐ横になれないと思いがち。その寸法は、荷室後端から倒した後席のシートバック上端までの距離なのだが、しかし、ヘッドレストを引き抜き、逆向きに付けなおすと、そこが枕となり、20cm程度、実質ベッド長が伸びたりする。ポルテの場合、約1800mmまで伸びるのである。
ポルテの車中泊対応能力はそれだけではない。初代、そしてこの2代目ともに助手席タンブル格納が可能で、荷室~後席格納部~タンブル格納した助手席部分まで含めると、初代、2代目ともになんと約2420mmものベッドスペースが出現。ふたりで寝るとして、ひとりが長身、もうひとりが小柄な人であれば、十分過ぎるふたり用の車中泊に対応する、天井高1380mmの余裕ある室内空間になるというわけだ。
また、全高1690mmとルーフが高いため、バックドアも大きく開く。それがひさしになり、雨の日でも荷室後端で雨宿りができる、地上高約700mmの、ちょっと高めのベンチにもなるのだから万能だ。さらに、ポルテは街乗り専用車として使われることも多く、6~8年落ちの中古車でも、比較的走行距離の短いクルマを探すことが可能となっている。
トヨタ・カローラフィールダー
続いて紹介できるのが、同じくトヨタのカローラフィールダーだ。こちらは予算30万円前後で2010~2012年モデルが狙える、人気かつ国産車では希少なコンパクトワゴン。ワゴンというキャラクターだから比較的走行距離が伸びている車両も多いが、それでも10万km以下のクルマも少なくない。探せばスタイリッシュなエアロモデルもありそうだ。
純粋なワゴンだけに荷室の使い勝手は文句ない。フロア地上高は570~580mmと低く、重い荷物、アウトドアグッズの出し入れもラクラク。しかも車中泊対応として、最大荷室長はメーカー値で2015mm、実測ベッド長1700mmと、大人でも(ヘッドレストを逆付けして枕分を延長すれば)真っすぐ横になりやすいのが、お薦めの理由。
ホンダ・フリード
コンパクトミニバン、ホンダ・フリードの2列シートモデル。車中泊カーとしても絶大なる人気を誇る、大容量コンパクトワゴンと呼べるフリードスパイク(現フリード+)も、2010年6月から2016年7月まで生産された先代モデルであれば、2010~2012年モデルが、30万円前後で手に入る。
荷室は後席使用時でもフロア奥行925mm、幅1010mm、天井高1050~1185mm(反転モード/スロープモードによる)と広大。さらに後席を低くフラットに格納すれば、奥行は前席最前端位置で2015mm、ベッド長としても1760mm程度はあるのだから、天井高の余裕とともに、車中泊にぴったり。
荷室部分の左右に棚もあり、小物の置き場も考慮されている(コンセプトは「ガレージ感覚で使える荷室」だった)。アウトドアにもってこいのクルマだけに、走行距離が伸びているクルマも少なくないが、それでも5~8万km走行の個体も見つけられそうだ
ホンダ・フィットシャトル
最後に紹介するのは、中古車が30万円前後で手に入る、とっておきの車中泊対応カーの1台、ホンダ・フィットシャトルだ。年式的にはこの予算でも、2012年のハイブリッド車が手に入る(この価格帯で狙える車中泊可能な唯一のハイブリッド車ではないか!)。
スマートキーなど装備も充実しているからうれしい。最新の(というか先代フィットベースの)、車名変更されたホンダ・シャトルと、デザイン的に大きく変わらないのも、9年落ちでも古さを感じさせない魅力のポイントとなる。
荷室は後席使用時で、奥行1020mm、幅975~1020mm、天井高945mmと、スタイリッシュなエクステリアから想像するよりずっと広く、天井も高い。しかも、後席格納時の奥行きはメーカー値で2000mm。実際に寝てみたベッド長は1820mmと、大柄な人でも真っすぐに横になれる寸法だ。しかも、後席格納時のフロアはほぼフラット。マットレスの用意は不可欠だが、凸凹感はほほなし。ヘッドレストを逆付けすることによる、にわか枕の設置もOKだ。
ちなみに当時の上級グレードには、後席シートバック背面に折り畳み式のポケット(収納)が付いていたのだが、ベッド化、車中泊対応としては、ないグレードのほうが、後席を格納した時の凸凹がなくなるので、適している。
個人的にここで紹介した4台のうち、手に入れるとしたら、車中泊空間のゆとり、シートアレンジのしやすさ、多彩さなどで、フリードスパイクか、ハイブリッドで選べるフィットシャトルになるだろう。