WRCで輝かしい戦績を残した日本が誇るハイパースポーツセダン!
かつてラリーで世界を相手に戦った、三菱ランサー・エボリューション。RSやMR、GT-Aやワゴンの派生モデルを含めると4世代/10車以上のモデルをラインアップ。ランエボシリーズ全バリエーションを試乗し、エボ3のオーナーでもあった筆者が独断と偏見、そして思い入れなどを加味して歴代モデルをランキング。早速、トップ10を10位から発表していく!
10位:ギャランVR-4に代わりWRCに参戦したランエボシリーズの初代モデル【ランサーGSRエボリューション】
選んだ理由はまさに起源モデルであるから。ギャランVR-4がWRCで勝利し「これからもっと進化する!」というタイミングで発売されたエボ1は、存在自体が驚愕だった。なにせ、かつてはスタリオンやギャランに搭載されていた「サイクロン」の名を持つ2.0L DOHCターボを小型セダンのランサーに採用。
軽いボディに高性能なエンジンの搭載はモータースポーツの定石ではあるが、発表時は思わず「ここまで思い切ったことするのか!?」というインパクトがあった。300万円に迫る価格にもかかわらず、予定台数をオーバーする販売台数を記録(予定は3カ月で2500台)。
当時としてはアグレッシブなエクステリアを含めて、すべてはここから始まった。よってトップ10にランクイン。ちなみに三菱はこのクルマが売れるとは思っておらず、広告宣伝はしていなかったうえ、次があると想定していなかったため、映画などのシリーズモノでもよくあるが「1」の名は後につけられた呼称。開発を担ったのはWRCチームで、篠塚建次郎氏やケネス・エリクソン氏が関わった。
【主要諸元】
■ランサーGSRエボリューション
■メーカー希望小売価格/[GSR]278万3000円(発売時)[RS]220万8000円(発売時)
●全長×全幅×全高:4310×1695×1395mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量 GSR/RS:1270kg/1170kg
●エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
●エンジン型式:4G63型
●総排気量:1997cc
●最高出力:250ps/6000rpm
●最大トルク:31.5kg-m/3000rpm
●駆動方式:4WD
●サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/マルチリンク
●タイヤサイズ:195/55R15
9位:AYCの初搭載やツインスクロールターボで戦闘力を格段に高めた【ランサーGSRエボリューション4】
エボリューションモデルの発売を前提にランサーベースで開発されたのが、第2世代最初のランエボ4。優れたボディにツインスクロールターボやAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)など、現在にも通用するデバイスを採用して戦闘力を向上。2.0Lながら当時の馬力自主規制の280psを達成しており、第2世代の新しいページを開いたモデルでもある。
試乗時の連続高速走行でのタフネスさも記憶に残る。それでいてセダンとしての快適性やトランクルームの使い勝手なども確保されていて、ファミリーセダンとしての使い勝手も犠牲にしないモデルであった。
【主要諸元】
■ランサーGSRエボリューション4
■メーカー希望小売価格/[GSR]299万8000円(発売時)[RS]249万8000円(発売時)
●全長×全幅×全高:4330×1690×1415mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量 GSR/RS:1350kg/1260kg
●エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
●エンジン型式:4G63型
●総排気量:1997cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:36.0kg-m/3000rpm
●駆動方式:4WD
●サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/マルチリンク
●タイヤサイズ:205/50R16
8位:2ペダルで乗り手を選ばないハイパーステーションワゴン【ランサー・エボリューションワゴンGT-A】
5速MTのGTもあったが、異色のモデルと言えるワゴンGT-Aが8位。ライバルのインプレッサに対して、意外にもランエボにワゴンボディが設定されたのはこのモデルから。ライバルに負けずに、荷物が積みやすくてやたら速い! スポーツモード付5速ATのトラスミッションに対してエンジンはエボ7 GT-Aに採用する連続可変バルブタイミング機構のMIVECを持たない4G63型を採用。最高出力272ps/最大トルク35.0kg-mと若干出力/トルクが抑えられていたが、体感上は遜色ないほど。
荷物を満載にしてアクセルを踏み続けると燃料計の針が減っていくのがわかるほど(実際に助手席にいた方の証言)の非経済的な燃費をたたき出すこともあったが、豪雨時の高速道路などでの安定性は頼もしく、まさにGTであった。
またサンルーフも装着できてユーザーの間口を広げる存在として貴重だった。ATオイルクーラーのためにナンバープレートをバンパー中央に動かしたのも特徴と言えるだろう。6速MTのGTはエボ9同様に左下に配置された。
【主要諸元】
■ランサーボリューションワゴン
■メーカー希望小売価格/[GT]346万5000円(発売時)[GT-A]341万2500円(発売時)
●全長×全幅×全高:4455×1770×1450mm
●ホイールベース:2625mm
●車両重量 GT/GT-A:1500kg/1540kg
●エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
●エンジン型式:4G63型
●総排気量:1997cc
●最高出力 GT・GT-A:280ps/6500rpm・272ps/6500rpm
●最大トルク GT・GT-A:40.0kg-m/3000rpm・35.0kg-m/3000rpm
●駆動方式:4WD
●サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/マルチリンク
●タイヤサイズ:235/45R17
7位:5速MTのほか6速DCTのSSTモデルもラインアップ!【ランサー・エボリューション10】
日本では存在感が薄まっていた感もあるが、海外での高い評価もあって7位にランクイン。ランエボといえば競技で勝つためのマシンという使命があった。モータースポーツでの実績を考えるとこの順位には賛否があるかもしれないが、室内も広く使いやすい4ドアセダンで非常に高性能であることを理由に選出。
それまでのガンダムデザインと呼ばれたフロントマスクからの脱却で、洗練されたルックスでありながら、それでいて逆スラントノーズ&台形グリルが高い戦闘力を醸し出すデザイン。
ツインクラッチSSTや4B11型エンジンのフレキシブル性など、高性能セダンを身近にし続けたランエボの性格を考えるとエボXは外せない。英国では最終仕様が440ps/57.0kg-mという2.0Lからは想像できないハイパフォーマンスバージョンが発売されて話題を集めた(日本仕様のファイナルエディションは313ps/43.7㎏-m)。エボXを最後にランエボが絶版となったことで、超高性能4ドアセダンのマーケットが縮小してしまったのが非常に残念でならない。
【主要諸元】
■ランサーエボリューション10
■メーカー希望小売価格/[GSR]349万5450~375万600円(発売時)[RS]299万7750円(発売時)
●全長×全幅×全高:4495×1810×1480mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1420kg~1600㎏
●エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
●エンジン型式:4B11型
●総排気量:1998cc
●最高出力 スタンダード仕様・ファイナルエディション:300ps/6500rpm・313ps/6500rpm
●最大トルク スタンダード仕様・ファイナルエディション:43.0kg-m/3500rpm・43.7㎏-m/3500rpm
●駆動方式:4WD
●サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/マルチリンク
●タイヤサイズ GSR・RS:245/40R18・205/60R16