さまざまなロータリー、レシプロがチョイスできた
もちろん、コスモAPといえばロータリーエンジンの話は外せない。改めてカタログに目を通すと、低公害車であることを前提に、“ハイ・パフォーマンス”と小見出しがひとつあるものの、声高に高性能車でござい! と謳った雰囲気はない。これは高性能車=ガス・イーターといったイメージや当時の空気を読みながらのことだったはずだ。搭載されたのは直列2ローターの13Bと12A、さらにレシプロケーティングエンジンの2Lおよび1.8L。このうち13Bは135ps/19.0kg−mの性能をもち、フラッグシップモデルのリミテッドに搭載、それに次ぐ12A(125ps/16.5kg−m)と、2機種のレシプロエンジンはカスタム系のグレードに搭載された。 ロータリーエンジンについて当時のカタログではサラッとだけ触れているのは、スペシャルティモデルのコスモAPらしいところ。だがリミテッドの走りに関してはハイ・ギヤリングであるためにMT車の各ギヤの守備範囲が高速側に広がりスムースで余裕がある……等の説明もある。最近ではすっかり見かけなくなったエンジンの性能曲線や5速MTの走行性能曲線等のグラフが載っているのも懐かしい。 ちょうど大学生だった筆者は友人のコスモに何度か乗せてもらった経験があるが、走らせているとタコメーターやスピードメーターと同じように、コスモはガソリンが早く減るから燃料計の針が動くのが肉眼でわかるよね……などと半ば冗談のような話をしていたものだが、そういう意味でも実にゴージャスなクルマだった。