事前の点検整備でサーキット走行中のトラブルが回避できる
走行会を主催するプロショップ、ディーランゲージ足立店の岸昌幸代表によると、サーキットに走行前の「事前点検」でトラブルの芽を摘むことができるといいます。
ボンネットを開けエンジンオイルの量を確認するのに始まり、ラジエターホースの劣化や留めているクランプなどに緩みがないかをチェック。そして車両をリフトアップした状態で、下まわりにおいてのオイルやフルードの漏れの兆候=にじみがないかどうかも点検。これだけでも安心感が違うといいます。
「サーキットでの全開状態が車両に及ぼす負担は、街中の比ではないほど甚大なのです」と、念入りに点検することの重要さを岸さんは教えてくれました。
また、テクニックを過信したばかりに起こってしまうトラブルとしては、オーバーランしてしまった際、ガードレールなどを傷つけてしまうケースが挙げられます。こちらも、容赦なく請求されることになります。鈴鹿サーキットならガードレール交換は1枚3万円以上し、支柱も同等の金額となります。タイヤバリアやウレタンバリアについては、柔らかいからといって例外ではなく、ダメージによってはガードレールよりも高額な実費が請求されることもあります。
コースアウトしても冷静に対応することが二次被害を抑止できる
エスケープゾーンを超えて、ガードレールに届くような無茶なスピードで突っ込んでしまうのは、初心者にありがちなブレーキコントロールの未熟さによるところが多いと岸代表は指摘します。目一杯ブレーキを踏み過ぎロックしてしまったのです。
こうした無謀なアタックは、朝から走り続けてだんだんと慣れてきた午後の走行枠によく起こることのようで、自身のメンタルコントロールについてもしっかりと戒めていきたいところです。
「グラベルへの突入を避けるには、サイドブレーキを引いてあえてスピンを起こしコース上に留まるのもテクニックのひとつです。もちろん、周囲の車両の状況をしっかりと確認してから行ってください」とのこと。
また、仮にグラベルに落ちてしまったら、その後の「二次災害」にも注意です。多くの場合ステアリングを切りながらグラベルに突っ込んでいくため、ホイールとタイヤの間に小石が噛んでいることがあります。それが原因で起こるのがスローパンクチャーです。気づないうちに空気圧が下がっているので危険です。
ブレーキに関しては、夏場に本気で1日走ると必ずといっていいほど起こるのがエア噛みです。少しでもブレーキに違和感を感じたなら、その日はもう走るのを終わりにするという英断もときには必要となります。 朝早く起きて遠方へ移動し、休日の貴重な時間を使うサーキット走行です。つまらないミスから起こる無用なトラブルを避けてサーキット走行を楽しみましょう。