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目玉が飛び出る「高額請求」もあり得る! サーキット走行で絶対厳禁の「マナー違反」とは何か

サーキットではオイル漏れに注意

他車やサーキットに迷惑をかけないためにも事前準備を怠るべからず

 非日常域でクルマの挙動を確かめることができ、かつ運転スキルの向上にダイレクトに効果があるのがサーキット走行です。好天など最高の条件ならなおさら、サーキットで心置きなく愛車を全開にすることで、日頃のストレスを解消してくれる効果も見逃せません。

 ただし、ストリートでは試すことのできない領域に愛車を持ち込むわけですから、それなりのリスクがあることも覚悟しておかなければなりません。自分の乗るマシンに重篤なトラブルが発生したなら、自走して帰れなくなるばかりか混走する他車へ迷惑をかけたり、サーキットの設備へダメージを与えてしまいます。そうならないための事前の準備と心構えを怠らないようにしましょう。

自車のオイル漏れが多重クラッシュを招くこともある

 なかでもエンジンオイルや各種フルードの漏れに由来するトラブルを起こしてしまったなら、自分だけの問題では収まりません。コース上にオイルを撒いてしまうと後続の車両を巻き込んだ多重衝突の原因になります。「お漏らし」と笑ってはいられない惨状が待っているのです。

 さらにエンジンオイルに関しては、漏れる量と場所によっては引火の可能性が高くなります。コース上での車両火災は、自身の身体に及ぼす危険ももちろん甚大ですが、消火器(1本2万円以上)の代金や汚した路面の清掃料もしっかりと請求されることになります。

 オフィシャルによる作業料金は面積単位で決まっていたりするので、ダメージが広範囲に及んでいると、それに応じて高額な料金が請求されることになります。その清掃料は筑波コース1000の場合なら10m=1000円ともいわれており、1周まるごと汚してしまったならそれだけで10万円コースの請求になります。

 当日の走行料金の何倍ものダメージがお財布に及んでしまうのです。大掛かりな清掃作業になれば、せっかく楽しみに走りに来ていた自分以外の参加者の走行枠が短くなってしまうことも忘れてはいけません。

他のイベント開催に影響を与えれば損害賠償請求になる可能性も

 さらに、連日のように占有予約が入っているサーキットなら、翌日以降の予定に響くようなトラブルを起こしてしまうと、その占有者から損害賠償の対象になる可能性も捨てきれません。

 サーキットによっては参加日に掛けられる保険も用意されていますが、多くはケガを対象としたもので、設備を壊してしまったりなどへの補償は含まれていないものがほとんどです。レースやサーキット走行由来の事故もカバーできる自動車保険の特約もありますが、保険料がかなり高額なのと事前審査が必要だったりとかなりハードルが高いのが実情です。

 走行前にサインする「宣誓書」には、必ず「サーキット内で起こる事故に関しては自己責任」という文言があります。これを肝に銘じつつ、自衛できることはしっかりと対策することが大事です。

事前の点検整備でサーキット走行中のトラブルが回避できる

 走行会を主催するプロショップ、ディーランゲージ足立店の岸昌幸代表によると、サーキットに走行前の「事前点検」でトラブルの芽を摘むことができるといいます。

 ボンネットを開けエンジンオイルの量を確認するのに始まり、ラジエターホースの劣化や留めているクランプなどに緩みがないかをチェック。そして車両をリフトアップした状態で、下まわりにおいてのオイルやフルードの漏れの兆候=にじみがないかどうかも点検。これだけでも安心感が違うといいます。

「サーキットでの全開状態が車両に及ぼす負担は、街中の比ではないほど甚大なのです」と、念入りに点検することの重要さを岸さんは教えてくれました。

 また、テクニックを過信したばかりに起こってしまうトラブルとしては、オーバーランしてしまった際、ガードレールなどを傷つけてしまうケースが挙げられます。こちらも、容赦なく請求されることになります。鈴鹿サーキットならガードレール交換は1枚3万円以上し、支柱も同等の金額となります。タイヤバリアやウレタンバリアについては、柔らかいからといって例外ではなく、ダメージによってはガードレールよりも高額な実費が請求されることもあります。

コースアウトしても冷静に対応することが二次被害を抑止できる

 エスケープゾーンを超えて、ガードレールに届くような無茶なスピードで突っ込んでしまうのは、初心者にありがちなブレーキコントロールの未熟さによるところが多いと岸代表は指摘します。目一杯ブレーキを踏み過ぎロックしてしまったのです。

 こうした無謀なアタックは、朝から走り続けてだんだんと慣れてきた午後の走行枠によく起こることのようで、自身のメンタルコントロールについてもしっかりと戒めていきたいところです。

「グラベルへの突入を避けるには、サイドブレーキを引いてあえてスピンを起こしコース上に留まるのもテクニックのひとつです。もちろん、周囲の車両の状況をしっかりと確認してから行ってください」とのこと。

 また、仮にグラベルに落ちてしまったら、その後の「二次災害」にも注意です。多くの場合ステアリングを切りながらグラベルに突っ込んでいくため、ホイールとタイヤの間に小石が噛んでいることがあります。それが原因で起こるのがスローパンクチャーです。気づないうちに空気圧が下がっているので危険です。

 ブレーキに関しては、夏場に本気で1日走ると必ずといっていいほど起こるのがエア噛みです。少しでもブレーキに違和感を感じたなら、その日はもう走るのを終わりにするという英断もときには必要となります。 朝早く起きて遠方へ移動し、休日の貴重な時間を使うサーキット走行です。つまらないミスから起こる無用なトラブルを避けてサーキット走行を楽しみましょう。

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