10~60代が幅広く楽しめる本格レース
搭載するエンジンはヤマハのバイク用。現在、空冷キャブレター4気筒の1300ccエンジンと昨年登場した水冷インジェクション3気筒の900ccが混在している。パワー的には空冷式で100ps程度。水冷式はそれよりやや低めのパワーだが、エンジン自体が軽いということもあり、走りの差はあまりないようだ。むしろ、大きいサーキットでは水冷モデルのほうが速いとも言われている。いずれにせよ、レース時には性能調整を行い、イコールで楽しめるよう工夫がされている。ミッションは空冷式モデルが5速、水冷式モデルが6速のシーケンシャル。現在新車は水冷式しか手に入れることはできないが、空冷式もスペアパーツが多いので、まだまだ走らせることが可能という状態。参加者の好みで使い分けているようだ。
さて、その参加者とはどのような方が多いのか。
「誰でも参加しようと思えばできるカテゴリーです。JAF戦もありますので、そのときには国内A級ライセンスが必要になります。60歳を超えた方も参加されていますし、クローズドレースではカートの次のステップとして14~15歳の若者もいます。カート同様に、レジェンドカーはハイエースで運搬できるのも身近なのでしょう」とたしろさん。筑波サーキットなどで開催されるときは、20台以上がエントリーすることもあるそうだ。
レースは3クラスに分かれている。国際Cライセンスを持つドライバーの「プロクラス」、国内Aライセンスを持つドライバーの「セミプロクラス」、そして年齢が50歳を超えるドライバーの「ジェントルマンクラス」だ。クラス分けはされているが、レース自体は混走。勝利を目指し本気で戦うけれど、それでもピットは和やかな雰囲気で紳士的なバトルが展開されている。ローリングスタートで小さなクルマたちがひとつの塊になってストレートを駆け抜ける様はなんとも迫力がありつつ、見ているほうも楽しくなる。
ハイエースで運べるコンパクトボディ
参加者のひとりはシルビアのチューニングでもお馴染みのプロショップ「ヤシオファクトリー」代表の岡村和義さん。昨年、レンタル(現在はレンタカーは中止している)でレジェンドカーレースに参加したところ、あまりにも面白くて、車両を購入してしまったほどのハマりっぷりだ。
「レンタルだといろいろ気を使って本気で走れないと思い、車両を購入してしまいました。参加者がしっかりルールとマナーを守るレースなので、やっていて楽しいですね。今回の袖ヶ浦がシリーズの3戦目。1~2戦は出られなかったのですが、残り3戦は出場するつもりです。ジェントルマンクラスでは優勝していますが、総合優勝を目指したいですね」と岡村さんは意気込みを語る。
プロクラスに参戦している橘川知さんもレジェンドカーの魅力について語ってくれた。
「いろいろなレースに出場した経験がありますが、レジェンドカーレースの最大の魅力はコストですね。今日もハイエースで運んで来ました。これなら普段はハイエースの中に保管しておくこともできますし。クルマは電子デバイスがないというところが楽しいです。腕次第ですから。タイヤがプアなぶん、アクセルワークやブレーキを繊細に扱わなくてはいけません。おもしろいです」
橘川さんは初年度の2016年からレースに参加している。最近水冷式モデルも購入したとのことで、今後は2台体制で使い分けるそうだ。
上のカテゴリーを目指した本格派もレースを楽しみたい人にも楽しめるレジェンドカーレース。今後、さらに注目度が上がっていくのは間違いないだろう。