やはり物足りなさを感じてしまう場面も……
そうした機能に支えられている走りは確かにタフだが、悪路をものともせずに突き進んで行くという力強いものではない。低い車速で車両特性を生かしながら技を駆使して慎重に岩場をも乗り越えていく、というのが軽自動車・ジムニーに対する正しい認識だ。傾斜のきつい登坂路ではパワー不足なのは否めないし、凸凹路面で高速ジャンプしたりハイスピードオフロードコーナリングを可能としているワケではない。
メルセデス・ベンツGクラスを彷彿とさせる外観デザインも、タフネスさをうまくアピールできている。市場にはGクラスに似せる外装キットなどが販売されていたり、またリフトアップキットで大幅に車高を上げ、大きなタイヤを履かせて踏破性を向上させようというオーナー層も多い。
だが、それらの多くは実際にはファッション性を重視したものである。オフロードランドのように管理されたコースで楽しむのは問題ないが、林道などに入り込み、自然環境に影響を与えるような走行行為はあってはならない。
ジムニーで急な登坂路を登ってみると車速の維持は難しく、悪路では半クラッチを多用するなどクルマへ大きな負担をかけることになる。そうした走行のあとにはメンテナンスも重要になるだろう。大排気量車のクロカンRVのような、パワフルに荒野を駆け抜けるイメージをジムニーに求めてはいけない。パフォーマンスを正しく認識し、安全と環境に配慮しながら上手に走らせてほしい。