まだ手が届くかもしれない大排気量エンジン搭載車
2000年代前半までを中心に、大排気量車はちょっと探せば見つかる存在だった。しかし、近年はダウンサイジングターボの普及もあり、メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズでもメインは3L直6ターボとなっているなど、大排気量車は数えるほどしか見当たらない。ここでは排気量4.5L以上のマンモスのような絶版大排気量車をピックアップしていく。
トヨタ•センチュリー(2代目)
現在、主に専門の運転手さんが運転するショーファーカーとしては実質的に日本唯一となるセンチュリーは、現行モデルのパワートレインも5L V8ハイブリッドである。だが、1997年から20年間生産された先代モデルも5Lという排気量こそ変わらないものの、エンジンはおそらく日本の乗用車では最初で最後と思われるV12を搭載していた。
先代センチュリーのV12エンジンは2.5L直6をふたつ繋げたという成り立ちだった。乗られている要人のためにも「絶対に止まることは許されない」というセンチュリーの性格もあり、すこぶる高い信頼性が求められていたのだ。V12エンジンの片バンクでも走れるエマージェンシー機構や燃料ポンプを2系統持つなど、航空機のような思想で設計されていた。
トヨタ•ランドクルーザー(100系/200系)
登場が秒読み段階となっている次期ランドクルーザーのエンジンはそれぞれV6となる3.5Lガソリンターボと3.3Lディーゼルターボとなる。だが、ランドクルーザーは1998年登場の100系から高級車の要素に注力していたこともあり、先代モデルとなる200系と先々代モデルの100系はV8エンジンを搭載していた。
100系は4.7L V8、2007年登場の200系は登場時4.7L V8、2009年から設計の新しい4.6L V8を搭載している。
日産シーマ(3代目)
2001年登場の3代目シーマは日本では一代限りとなったインフィニティQ45から続く4.5L V8や3L V6ターボを搭載。ボディサイズなども大きく表面的な車格は当時のトヨタ・セルシオに匹敵するモデルだった。とは言え、3代目シーマも歴代同様にセドリックの拡大版というところが否めない点などがあり、総合的に見た車格はセルシオより半車格下というイメージだった。
なお、4.5L V8エンジン搭載車は初代フーガにも設定されており、こちらは3代目シーマ以上に運転して面白いビッグセダンだった。
三菱プラウディア&ディグニティ
プラウディア&ディグニティは三世代続いたデボネアの後継車として1999年12月に登場している。
エンジンはプラウディアがそれぞれ直噴となる3.5L V6と4.5L V8、ディグニティは後者のV8を搭載している。クルマの仕上がりは当時キャデラックの大型セダンがFFだったこともあり、「和製キャデラック」と評価もあったほど、良好だった。
メルセデス・ベンツ(W140型600系)
1991年に登場したW140型Sクラスは巨大なボディサイズ、車重は最軽量で約2t、二重構造となった側面ガラスなど、当時のメルセデス・ベンツらしい戦車のようなモデルだった。
そのフラッグシップとなるのが6L V12エンジンを搭載する600系で、W140型は素晴らしいクルマなのは確かながら、日本のバブル崩壊など当時は世界的に景気が悪かったこともあり、いろいろな意味で重厚長大、「やり過ぎ」という感も否めず、歴代Sクラスにおいて商業的には成功しなかったほうのモデルだった。
この種の大排気量車は大排気量ゆえの燃費の悪さや自動車税の高さが敬遠され、中古車が安いこともある。欲しいものがあるのなら、予算を決めるなどお金を使い過ぎない範囲で一度自分のものにすることをお勧めする、そんなクルマたちである。