ワークスが手がける「本格」エンジンチューニング
NISMOの手掛けるエンジン(というよりは今や原動機というべきか)チューニングメニューは、現在、スポーツリセッティング(以下スポリセ)シリーズ、S1、S2のS-tuneシリーズ、そして現在最高峰となっているR2のR-tuneシリーズの3種類が展開されている。
間口が広い「スポーツリセッティング」
スポーツリセッティング(以下スポリセ)は、いわゆるコンピュータチューンに属するライトなメニュー。現在は、スポリセにもTYPE-1/TYPE-2/TYPE-3と細分化され、以下の通り。
TYPE-1:サーキット走行向けに、スピードリミッターのみ変更した仕様。
TYPE-2:スピードリミッター変更はもちろん、空燃比・点火時期・可変バルブタイミング・過給圧・電制スロットルなど車種によりその制御をリセッティングすることで、よりスポーティなエンジン特性へと進化させるメニュー。車種によってはマフラーなど付随パーツとセットになっている場合もある。
TYPE-3:「TYPE-2」に対しさらなる性能向上を狙った仕様で、吸気系などのパーツも変更し、燃料は市販プレミアムガソリン限定となる。
ちなみに、ノートe-POWERやリーフなどの電気自動車に対しても上記スポリセTYPE-2がラインアップされているので、冒頭で原動機としたわけだ。
価格的にもTYPE-1で10万円台前半、TYPE-2で10万円台後半から車種によっては30万円前半、TYPE-3は20万円後半から30万円前半で、NISMOのラインアップの中では購入しやすい価格設定だ。
スポリセの取り扱いは全国のNISMOパフォーマンスセンターおよびNISMO大森ファクトリー。
オーバーホール&チューニングを行う「S1」「S2」「R2」
S1/2およびR2は、本格的なチューニングメニューでエンジン本体のパーツ交換と精密なオーバーホールがセットとなっているので、価格もケタの違うものとなっている。
S1/2は、NISMOのS-tuneコンセプトに基づくチューニングメニューで、「ワインディングを代表とするストリート走行における速さと快適性を追求したチューニングコンセプト」。そのためエンジンの特性としては、アクセル操作にリニアに反応するところを狙っている。ターゲットはズバリ、ストリート。しかし筑波サーキット2000などのミドルクラス以下のサーキットならSシリーズでも十分に楽しめるエンジンに仕上がるはずだ。
RB26DETTのS2を例にとると、エンジンの精密オーバーホールは、重量合わせ、段付き修正、各種バランス取り。さらにカムシャフトなど専用パーツ組み込みだ。さらにターボはBNR34純正のボールベアリングターボに交換し、インジェクターもR35GT-R純正のマルチホールタイプを使うなど、トレンドのチューニングアイテムも取り入れている。
R2はやはりR-tuneコンセプトに基づくメニュー。「より楽しく、より速くを追求しサーキットへ足を踏み入れてしまった人のためのチューニングコンセプト」。つまり、サーキット走行で必要な絶対的なパワーとトルク特性、そして耐久性を持ったエンジンで、サーキット走行において真価を発揮することにターゲットを置いたメニューだ。現在、NISMOのチューニングメニューではパワー的にも内容的にも最高峰に位置付けられている。ただし、ターゲットを本格的なサーキットとしているため、中低速のレスポンスに関してはSシリーズのほうが優れているだろう。
同様にRB26を例にとってみよう。エンジン本体は、ポート段付修正・ピストンコンロッドの重量合わせ・クランク&プーリー一体バランス取りなど超・精密オーバーホールと高性能パーツと組み合わせることで、パワーと耐久・信頼性を両立している。またシリンダーブロックやピストン、コンロッドなどは日産純正N1仕様を使う。
Sシリーズ、Rシリーズともに取り扱いは全国のNISMOパフォーマンスセンターだが、スポリセとの違いは施工作業はNISMO大森ファクトリーの熟練メカニックが行う点。いわゆる大森ファクトリーチューンのエンジンというわけだ。
一般的にエンジンを改造したチューニング車両は、クルマを売却する際にはマイナスポイントなるか、あるいは引き取ってもらえないケースもある。しかし、NISMOのチューニングメニュ―施工車なら、むしろプラスポイントになるケースもあるという。施工時の価格は高いかもしれないが、後々のリセールバリューを考えるとメリットはあるだろう。