思い切ったメンバーの入れ替えが奏功
アメリカでもっとも人気のあるカーレース「NASCAR(ナスカー)」。「カップ」、「Xfinity(エクスフィニティ)」、「Camping World Truck(トラック)」という3大カテゴリーのうちのひとつ、トラックシリーズに長年参戦し、2018年シーズンのタイトルも獲得した、ナスカー界唯一の日本人チームオーナーである服部茂章代表が率いるチーム「HATTORI RACING ENTERPRISES (HRE)」。今季も若手オースティン・ヒル選手を起用しトラックシリーズに参戦を続けている。
フリ−走行では16番手、予選は13番グリッドを獲得!
今回HREは、栃木トヨタおよび福島トヨタのスポンサードを受けた「#16 TOCHIGI/FUKUSHIMA TOYOTA TUNDRA」でこれに挑むこととなった。決勝前日の7月8日(木)に行われたフリー走行では、この初開催となるダート・ショートオーバルのセッティングを進めるためピットインを繰り返しながら、セッティング変更を行っていき、最終的には22秒63の16番手のタイムを記録。翌9日午後6時から4組に分けた15周のレース形式となった予選では、4組目の予選レースに6番手から出場した。HREのヒル選手は、スタートで出遅れたものの4番手争いに追いつくと2台をパスして4番手でチェッカーを受け、ポイント獲得順により13番グリッドを獲得。
150周で争う決勝レースがスタート!
そして迎えた決勝は、予選直後の午後8時にスタートした。今回は0.5マイルのコース40周の第1ステージ、50周の第2ステージ、そして60周の最終ステージからなる150周(75マイル:約120.7Km)で争うレースとなっている。
ヒル選手はスタートから着実にポジションを上げていき16周目には7番手まで順位をアップ。この日最初のクラッシュによるイエローコーションからのリスタート後は、10番手前後の中段で順位を入れ替えながら走行を続け、9番手で第1ステージのチェッカーを受けた。
41周目にグリーンフラッグが振られ第2ステージがスタートした。ここでヒル選手はスタートダッシュを決め8番手に順位を上げると、トップを上回るスピードで次々に前車を攻略し61周目には一気に2台をパス。2番手まで順位を上げ、そのままの勢いでトップのイン側に入ったものの、ここで不運にも4回目のイエローコーションが出されてしまう。
再スタートではフロントロウ・アウト側からスタートを切ったヒル選手だったが、アウト側のダートが踏み締まってはおらず、柔らかい土に足を取られ失速。合わせて後続車からの接触も受けてしまい、2番から13番手まで順位を落とす。そのまま第2ステージのチェッカーを受けることとなってしまった。このステージブレイクではコースに留まる戦略を取った3台を残して全車がピットに向かう。HREはこの3分間で給油とタイヤ交換と共にリヤショックアブソーバーの交換を行い、16号車を送り出す。ヒル選手は16番手から最終ステージを迎えることとなった。
ついに運命の最終ステージ! イエローコーションが味方に
最終ステージは踏み締められたイン側と、まだ固まっていないアウト側の路面のコンディションの違いが出てきており、特にバンク角のないこのコースでは追い抜きが難しい。各所で接触が発生しクラッシュに繋がっていく。ヒル選手は中段グループの混戦にも巻き込まれ一時は20位まで順位を下げてしまう。
レースは終盤になってクラッシュが多発。これをギリギリのところで切り抜け、138周目に9回目のイエローコーションが出されたところで9番手へ。さらにこのリスタートで4番手までポジションを上げたヒル選手はさらにスピードを上げ、146周目には再び2番手のポジションを取り戻しトップを射程距離に捉えていく。