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知っているようで知らない「電気」のイロハ! アウトドアで使い倒せる「ポータブル電源」の選び方

ポータブル電源のイメージ

ポータブル電源ならなんでもOKというわけではない

 キャンプ人気が高まるなか、最近のトレンドとしてキャンプサイトで電気製品を使用するスタイルが定着しつつある。薪や炭、ガスやガソリンのコンロとともに便利な家電を使うハイブリッドなスタイルは実用性を高めるだけでなく、調理の幅を広げ、美味しい料理を提供してくれるのだ。

 とくにオートキャンプでは外部電源がキャンプサイトに用意されている場合もあるので、予約をする際にはしっかりと確認をしておきたい。また、PHVやPHEVなどの電気自動車でクルマ自体を「電源」として使用することも可能である。電化製品を使用するキャンプを目指すのであれば、クルマを買い換えるときの選択肢に加えてはいかがだろうか。

「W」と「Wh」の関係性が大事!

 最近はSNSやネットショッピングの広告で目にすることも多くなった「ポータブル電源」だが、どんなメリットがあるのだろうか。非常時の電源として使えるだけでなく、キャンプやアウトドア、イベントのサポート電源として活躍する。最近ではスマホ用のモバイルバッテリーを携帯するのが日常となっているが、ポータブル電源はその延長線上にある。

 外部電源のない場所でも気軽に電気を使うことができ、最近では数日間の日常生活を賄えるほどの大容量モデルも登場している。逆に、ポータブル電源ではなく発電機を使えば問題は解決するのでは……という疑問も沸いてくるが、静かなキャンプ場で発電機のエンジン音は迷惑になってしまう。発電機は発電した電気を使うもので、使用時にエンジンを掛けておかなければならないのが欠点でもある。そうなると、やはり大容量のポータブル電源に軍配が上がってしまう。

 では、アウトドアに最適なポータブル電源とはどんなものなのか。容量が大きいほど出力の大きな電化製品が使えるのは当たり前だが、ポータブル電源の基本は「消費電力」、「電力容量」、「出力」の三本柱が重要になる。

 まずは自分がキャンプで使いたい電化製品の「消費電力(W)」と使用する時間を計算し、ポータブル電源の「電力容量(Wh)」と比較することで自分に向いているかを確認する。また、ポータブル電源で使用可能な「出力(W)」をチェックし、使用したい電化製品に対応しているかを確かめよう。

使いたい家電製品を厳選しておこう

 聞き慣れない「Wh」だが「使いたい電化製品をどれだけの時間使用する」という単位であり、例えるなら炊飯器などは使うのは30~40分程度だが、就寝中の電気ヒーターなどは6時間以上も使うことも多い。使用する時間が長ければ長いほど「Wh」は大きくなり、その量に見合った製品を選ばなければならない。

「Wh」は製品の消費電力(W)に使用する時間を掛けたものが「Wh」。例を挙げると10Wの電気ヒーターを6時間使用すると必要な電気容量は60Whとなる。そこに炊飯器、ポータブル冷蔵庫、ホットプレート、サーキュレーター、LEDランタン、パソコンなど贅沢をしすぎれば、求められる容量は際限がなくなってしまうということだ。

 キャンプにおけるポータブル電源の使用は家庭での生活とは違い、ある程度の制限が必要になる。もっともプライオリティの高い順からセレクトし、余分なものは排除していくべし。オススメとしては冷えた飲み物を確保するポータブル冷蔵庫、そして夜間に熱中症を防止するサーキュレーター、デジカメやスマホの充電、そこに炊飯器を使う程度で賄える容量(出力)を確保しておきたい。

使いたくても出力が足りない場合も……

 また、容量とともに注意してほしいのがAC電源の出力だ。ポータブル電源の出力は150W~300W程度が一般的であり、出力の高い電子レンジ(500W~600W)やドライヤー(1000~1500W)などの出力の高いものは使うことはできない。高出力に対応するものはグレードも高くなり、それに比例して価格も高くなるので注意するべし。自分が使いたい製品の出力をしっかりと確認しておくことがポータブル電源選びのポイントなのだ。

 実用的なポータブル電源なら4~5万円前後、容量の大きなものになれば10万円を軽く越えてしまうこともあり、しっかりと吟味をして手に入れることが大切だ。種類によってはバッテリーを連結させての容量アップや別売りのソーラーパネルとつなげて充電できるものもあり、拡張性の豊かさもセレクトするべき重要なポイントとなる。

 最近ではSAなどのEVステーションで急速充電できるアイテムも登場し、ポータブル電源の世界は日進月歩の勢いで進化を遂げている。ポータブル電源は決して安い買い物ものではない。自分に必要な容量と使用する電化製品の出力をしっかりと確かめてから購入するべし。

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