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「特製岡持ち」で聖火を搬送! 1964年東京オリンピックで大活躍した「セドリックスペシャル」

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 宮越孝政/日産/トヨタ/写真AC/Auto Messe Web編集部

聖火を倒さないで運ぶためにダンパー付きの収納ケースを後席にセット

 聖火のトーチを掲げて走る聖火ランナーの後ろを走る大役を仰せつかったのがセドリック・スペシャルだ。ボディサイドにはTOKYO1964の文字に五輪マーク、そして日の丸のステッカーが誇らしげに貼られている。万一、聖火の火が消えてしまったり、壊れたときの予備のトーチを運ぶ搬送車だから失敗は許されなかった。

 今と違って日本の道は悪路ばかりだ。だから日産の担当者は、後席に置くトーチが倒れて壊れないか心配だったのである。あれこれ考えた末に思いついたのが、蕎麦屋などが出前のときに使っている岡持ちだ。これをヒントに、聖火を吊り下げるダンパー付きの収納ケースを考案し、後席にセットした。実際に走らせてみると、荒れた道でもショックを上手に吸収したし、ずれることもなかったから火が消えることもなかったのである。 聖火リレーを成功に導いた影の功労者が、聖火ランナーの後を粛々と走っていたセドリック・スペシャルだ。その勇姿は、聖火リレーを見た多くの人の目に焼き付いている。

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