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かつては「主役」だったのに何故? サーキットから「ホンダスポーツ」が姿を消す日

アマチュアのレース好きにとっては大打撃? 

 ほんの数年前までは公式だろうと非公式だろうと、参加型モータースポーツの主力だったホンダ車。しかしシビックやインテグラを中心とした往年の名車たちは、パーツの調達が難しくなり急激に数を減らしている。このままサーキットから姿を消えてしまうのか、それとも後継者へバトンを渡せるのだろうか?

参加型モータースポーツの「主役」だったかつてのホンダスポーツ

 シビックならEG6にEK9、そして4ドアになったFD2。またDC2とDC5のインテグラにS2000。タイプRを筆頭とするホンダのアンダー2Lといえば、以前は参加型モータースポーツにおける主役だった。 ワンメイクレースでは大勢のドライバーが熱いバトルを繰り広げ、ジムカーナやダートラといったカテゴリーでも大活躍。サーキットの草レースでの人気ぶりもまだまだ色褪せない。ところが盛者必衰はクルマの世界にも当てはまるようで、最近はかつてのメインキャストたちの姿が激減している模様。

 ひとつ例を挙げれば2021年6月にツインリンクもてぎで開催された、7時間の耐久レースである通称『JOY耐』だ。ホンダのお膝元ともいえるサーキットが舞台だけあって、参加車両は昔からシビックやインテグラが多かった。一線を退いたワンメイクレース車両を耐久用にリメイクしたり、一般的なサーキット仕様のチューニングカーを持ち込むエントラントなど、該当するクラスは常に盛況。

 しかし今年は70台を超えるエントリーのうち、EG6/EK9の1.6Lシビックはわずか6台。それ以外のインテグラやS2000を含めても、いわゆる旧世代のアンダー2Lは15台ほどという状況だ。 もっとも年数が経てば中古車のタマ数は減るし、廃盤になってしまう純正パーツもどんどん増え、消耗の激しいサーキットから消えていくのは必然。このままホンダ車は参加型モータースポーツの表舞台から、フェードアウトしていくのが定めれた運命なのだろうか。確かに旧世代のクルマに関してはそのとおりだと思われる。ただしJOY耐ではフィット専用のクラスが設けられ、今年は15台がエントリーし総合優勝にも輝いた。

 各地のサーキットではワンメイクレースが行われているし、ジムカーナなどで姿を見かける機会も少なくない。シビックの『延命』ぶりから考えると、車種がひとつという現実には寂しさを覚えるものの、わずか2~3年でホンダ車が消える心配はないはずだ。

 

そもそも現行ラインアップにMTモデルがほぼない

 問題はそれより先の話。2020年に発売された現行型フィットにはMTモデルが存在せず、スポーツグレードとされる『モデューロX』も2ペダルのみとなっている。 ワンメイクレースを開催する話も聞こえなければ、MT追加のウワサも現時点では耳にせず。このままではシビックやインテグラと同じ道をたどる可能性が高い。稀少な軽自動車のスポーツモデルで6速マニュアルがあったS660は、惜しまれつつも2022年3月での生産終了がアナウンスされ、中古車は早くも価格の高騰が始まっている。シビックもイギリス生産となってからのタイプRに関しては、国内販売の台数が限られていたり価格が高いせいもあって、参加型モータースポーツのベースにはなりにくい。

 希望の光は6速MTの設定がある、2020年に発売された2代目のN-ONEだろうか。 軽自動車によるモータースポーツは盛り上がるいっぽうだし、アルトワークスやコペンといった似たパッケージのライバルもいる。過給機の付いた軽自動車でひとつのカテゴリーが成立するし、税金などの維持費も安ければタイヤやブレーキの消耗品も安い。速度差があるため普通車と混走のレースが実施されるかは不明だが、参加型モータースポーツのベース車としての適正は十分に備えている。ただしAT限定の運転免許を取得する人のほうが多数派となった昨今、モータースポーツするならMT車という古い先入観は、早々に捨て去ったほうが未来は開けるかもしれない。

「モータースポーツ=MT」という価値観が古いのかもしれない

 2014年に始まったN-ONEのワンメイクレースは、CVTのみながら多くのエントラントを集めており、走っても面白くないなんて声はまったく聞こえない。 ホンダ車ではないが今年からスタートしたヤリスのワンメイクレースもCVT仕様があり、今後2ペダルによるモータースポーツはどんどん増えていくと予想される。パーツ不足や車両の値上がりで維持することが難しい旧世代から、AT限定免許でも楽しめる現行モデルやそれに近い世代へ。その切り替わりがスムースに進めば、ホンダ車は今後もサーキットで存在感を放ち続けられるはず!

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