カーセキュリティショップに聞く、高度化される車両盗難を対策とは
テレビやネットで報道される車両盗難や車上荒らしはクルマのオーナーにとっては軽視できない事件のひとつ。人気のある高級車に乗っていたり、離れた場所に止める機会が多いのならいつ被害に遭うか分からない。
ひと昔前はドアを強引にこじ開け、イグニッションキーの配線直結によってエンジンを始動させる盗難が主流だった。しかし、スマートキー/スタータースイッチを採用するクルマが増えてきた今日、窃盗犯はそのクルマに見合った新たな手口で簡単にドアを開けてクルマを持ち去っている。各自動車メーカーがイモビライザーなどの防犯システムを採用しても犯罪件数が減らない中、マイカーを守るためにどのような対策を施せばいいのだろうか。
全国ワーストクラスの車両犯罪多発地域である愛知県で高い信頼性を得ているセキュリティ専門ショップ、キッズガレージの吉田泰啓代表に車両盗難/車上荒らしの傾向と防犯対策を聞いてみた。
スマートキー&スタータースイッチを採用する車両盗難3つの手口
盗難手口その1/スマートキーの微弱電波を増幅する「リレーアタック」
スマートキーは使用していない時でも常時微弱な電波を発している。その微弱電波を特殊な受信機で拾って増幅して、クルマを持ち去るのがリレーアタックだ。以前は電波が飛ぶ距離が短いため、スマートキーからクルマまで数人で電波をリレーしながら犯行に及んでいたが、いまでは受信機も進化して一人でも犯行が可能になっているようだ。スマートキーを電波遮断ケースに入れたり、微弱電波のオフ機能(車種によって付属)を使えば、面倒にはなるがリレーアタックの対策は可能だ。
盗難手口その2/スペアキー機能を悪用した「コードグラバー」
コードグラバーはスペアキーのIDコードを不正に悪用する手口だ。オーナーがドアをロックさせた際の電波を受信することで開錠IDコードを読み取り、正常のスマートキーとしてクルマに認識させることでドアの解錠はもちろん、エンジン始動が可能になる。
盗難手口その3/CAN通信の配線を利用する「CANインベーダー」
リレーアタックやコードグラバーが知れ渡り各対策が施されるなか、新たに登場した盗難手口がCANインベーダーだ。最近のクルマはボディに配線を巡らせたCAN通信によって各部の動きを制御している。そこへ特殊な機器をCANラインに繋いで操作することで、ドアを開けてエンジン始動までが可能になる。
このCANインベータ―を使った盗難で狙われやすいのが、プリウスのほかランドクルーザー200やレクサスLXなどの高級車などで、窃盗犯は狙いを定めて犯行に及んでおり、車両オーナーの動きを監視しながら確実にクルマが持ち去ってしまう。