新技術への挑戦の志は今の時代へも続く
それから60年の歳月を経て、日産からリーフが発売されたのである。かつてのたま電気自動車の影響がそこにあったかどうか定かではない。しかし時代を考慮し、最適なクルマを生み出そうとする姿勢には通じるところがある。そもそも日産自動車の創業を振り返れば、明治時代の快進社自動車工場や戸畑鋳物に遡り、日本で自動車を製造しようとした開拓者たちの時代へ至る。時代を切り拓くという意味では、志がつながるともいえる。
まだ実用化が見えない時代に、ノーベル賞を受賞した旭化成の吉野彰氏が実用化の堵を拓いたリチウムイオンバッテリーのEVへの採用を摸索したのも日産が早かった。そして、ソニーと共同で開発し、試作車で実験を重ね、のちにNECと共同でEV用リチウムイオンバッテリーの自社生産に乗り出すなど、日産のEVへの思い入れは並大抵ではない。リーフを発売したことで、e-POWERという独創のシリーズ式ハイブリッドシステムも誕生することになる。