セッティングの豊富さは車高調が一番!
さらなる足まわりのグレードアップを求めるならば車高調整式のサスペンションキットの出番となる。
スプリングとダンパーとのバランスを考えたセットアップや、減衰力が調整できるといったところは、純正形状のスプリングとダンパーを組み合わせたセットと似ているが、一番の相違点はなんといっても車高が調整できること、これに尽きる。
スプリングの長さを変えて4輪の車高を微調整できるのだ。ボディの個体差から起こるタイヤとフェンダーとの気になるクリアランスの違いも修正可能。走りをよりシビアに追求したいならばコーナーウエイトゲージを使って、4輪の荷重を整えるといった使い方もできる。
スプリングは特性がマイルドな樽型を使っている場合もあるが、主流はシャープなテイストでさまざまなバネレートが選べる直巻式だ。スプリングの長さを調整する方法はショック本体に設けられたいくつかの溝にC型リングを差し込んでスプリングを載せるロアシートの位置を変えるCリング式と、ショック本体に刻まれたネジ山にロアシートをねじ込んで上下に移動させるネジ式とがある。Cリング式は溝をそれほど細かくは設けられないので調整の自由度が少ない。いっぽうネジ式は調整幅が大きい。しかし、極端に車高を落とすためにねじ込みすぎるとスプリングが遊んでしまったり、ダンパーの有効ストロークが減って底付きが発生しやすく、乗り心地の悪化を招くことになる。
全長調整式ならローダウンしても乗り心地確保
そんなデメリットに対応したのが全長調整式の車高調整だ。スプリングの長さを決めるのはネジ式と同じように行う。この時点でスプリングの長さとダンパーの有効ストロークが決まる。このバランスを崩さずに車高の調整ができてしまうのだ。ダンパーは上から下までネジ山が刻まれているフルタップになっていて、その下側にねじ込まれているロアブラケットを調整してダンパーの全長を変えることで車高を変化さるという仕組みだ。
フェンダーやアーム類などの干渉のことを考えなければ、有効ストロークを変えずに自由に車高が下げられる。つまりローダウンしても乗り心地の悪化が免れる、なんとも画期的なシステムなのだ。
自分の使い方と予算で吟味しよう
というようにざっくり見渡しただけでも足まわりにはさまざまなアイテムが用意されている。モノによっては手軽なローダウンスプリングよりもハードなイメージの全長調整式のほうがしなやかな乗り心地だったりする。硬い柔らかいや良い悪いの基準は人によってそれぞれなので、基準を共有できる仲間のナマな情報なども参考にしつつ、自分にぴったりなアイテムを選んでほしい。