堅牢NAエンジンが見せたターボ勢との死闘の数々
また、M1の心臓部となった直列6気筒3.5LのM88型エンジンは、性能が高く安定していること、壊れないこと、メンテナンスが容易であることなどから、その後耐久レース(WEC、WSPC)のグループC2カー用エンジンとして重宝がられ、フォード系V8エンジンと争いながらタイトルを掌中に収める成功を見せていた。 さらにM88型で培われた技術は、グループAレース(ETC、BTCC、JTCなど)の最終兵器として開発されたM3(E30)のエンジンに活かされることになる。
3453ccのM88型直列6気筒エンジンから2気筒分を切り落とすと排気量2302ccの直列4気筒となり、このエンジンがM3に搭載されたS14型エンジンそのものとなる。
自然吸気エンジンを使うことで、絶対パワーこそターボカーに及ばなかったが、バランスに優れたミッドシップシャーシはハンドリングで優位に立ち、ともするとターボラグの処理に手を焼くパワー第一主義のグループ5カーにひと泡吹かせる場面も多々あった。 今となっては、ジウジアーロデザインの流麗なクーペボディをまとい、レスポンスに優れたM88型エンジンと高剛性シャーシが生み出す次元の高い走りは、歴史に残る名車の1台であることは疑いようもない。