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「西部警察」に憧れて警察官に! 愛車はもちろんDR30スカイライン! 両方の夢を叶えたオーナーの物語

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TEXT: Auto Messe Web編集部  PHOTO: 木村博道

定期的にメンテナンスを施し大きなトラブルはなく快調

 こうして2台のR30が車庫に収まった。4ドアは奥さまが買い物などで日常的に使われて、2ドアは前田さんが週末にドライブを楽しんでいる。発売から30年以上が経つモデルだけに、トラブルなどはないのだろうか?

2台が車庫に収まるシーン

「古いクルマですから、壊れることもありますね。昔、妻が4ドアに乗っているとき、車内のライトがすべて点灯。オルタネーターが壊れる前兆でした。エアコンから熱風が出たりしたこともありましたね。4ドアはエンジンのオーバーホールを1度行っています。多少のトラブルはありますが、基本的には通常のメンテナンスだけで乗ってこれていますね」

 早めに部品交換やメンテナンスを行うということは、警察車両を大切に扱うという先輩たちからの教えを守って愛車にも実践している。そのため、好調を維持できているそう。輝きを放つ赤の2ドアは、オールペイントなどは施していない新車時の塗装のまま。一度ボディコーティングを施し、以降は小まめな洗車とボディカバー保護による賜物だ。

ボディカバーをかけてしまうシーン

 西部警察がきっかけのひとつだとは想像が付くのだが、そもそもなぜR30を購入しようと思ったのだろうか?

石原プロの記念きっぷ

「中学生のころ、新聞にR30スカイラインの広告が出ていたのです。私が乗っているのと同じ、鉄仮面と当時CMに起用されていたポール・ニューマン仕様の2台が並んでいました。そして、キャッチコピーの『史上最強のスカイライン』というフレーズ。それを見て、子供ながらに史上最強だと言い切るクルマって、すごいな、と思いましたね。その印象がずっと印象に残っていたんです」

「そして、西部警察でのドラマでの活躍。劇中車は鉄仮面ではない前期型がベースでしたが、すごくカッコよかった。クルマにはDOHCといった高性能を主張するステッカーが貼ってあって。真似して自転車にDOHCって書いてみたこともありました。ちょっと速くなった気もしました(笑)。いま思うと、変なことしてたなって思います」

ボディサイドのステッカー

 もちろんクルマ雑誌も読んでいたが、当時流行っていた改造車を取り上げる雑誌ではなく、新車をきちんと紹介する雑誌を読んでいたそう。クルマの性能にフォーカスした記事に注目し、R30に搭載されていた当時の最先端技術や先進的なデザインの解説を読み、“史上最強”の意味を再確認したそうだ。

 ところで、ドラマに憧れて劇中車のレプリカ仕様が欲しくなったりしないのだろうか?

「一時期はそう思うこともありました。じつは、同じエアロパーツも持っているんです。もし宝くじが当たって、前期型のスカイラインを手に入れる機会に恵まれたら、定年後の楽しみにしたいですかね、でも、乗っていないと思いますが」と前田さんは笑う。

早めの部品確保といいショップと巡り合うことが大事

 現在、4ドアは16万km、2ドアは5万2000kmを走行している。車両を購入したユーティリタスと、スカイラインに精通した日産東京販売モータースポーツ室の両方のショップにて手厚いメンテナンスを施している。どちらもR30に詳しいため、安心して任せられるそうだ。

4ドアのオーバーホールしたエンジン

「ユーティリタスはR30専門ですから、目をつぶっていても整備できるのでは? と思うほど完璧です。わずかな音を聞いただけでも、トラブル箇所をすぐに発見してしまうほど。そして、モータースポーツ室は車両の状態に合わせて最適なメンテナンスを提案してくれます。もちろんR30にも精通していますし、ディーラー直系という安心感、そしてすぐに純正部品なども手配していただけます。このふたつのショップのおかげで、2台のR30に安心して乗り続けていられるのです」と全幅の信頼を寄せている。

 そんな大事にしている2台のR30だが、じつは一度4ドアを手放した時期があるそう。仕事も多忙になり、2台に全力で愛情を注げないかもしれない、と断腸の思いで別れを決意する。手放したあと、2ドアのメンテナンスでショップを訪れると、手放した4ドアが入庫していた。メンテナンスですか? と尋ねれば、なんとまた売却され、中古車として出戻っていたそう。なんでも、前田さんの次のオーナーが大事に乗っていたそうだが、さらに条件に合うR30と出会ったため、手放したそうだ。

 せっかくいいオーナーのもとに嫁いでいったのに……という思いで頭から離れなくなり、1週間後には奥さまに相談。そして再び4ドアは前田家に戻ってくることになった。4ドアの後継車として日産ノートに乗っていたそうだが、再び4ドアが戻ってきた日、ご近所の方から「やはり前田さん家は、こっちのクルマのほうがいいわよ!」などと言われたそう。いかに、ご近所からも理解を得られているかがわかる、心温まるエピソードだ。

2台揃ったR30スカイライン

 乗れるかぎり、ずっと乗っていきたいと語る前田さん。いまでは手に入らない、貴重な純正部品の数々を新品で確保している。モール類やヘッドライト、テールランプなどは1台分、きちんと買ってある。4ドアのマフラーは、純正新品に交換したばかり。純正部品の確保は、旧車オーナーにとって切実な問題だ。

4ドアのマフラー

「高騰する前に購入しておいてよかったです。先輩からの教えや、ショップからも部品があるうちに買っておいたほうがいい、とアドバイスをもらっていましたから。ウインカーや小さなライトなども揃っていますが、本当にボロボロになるまで、交換しないでしょうね、もったいなくて。ネットオークションでは15万円とか値がついていることを家族に教えると、売ってしまおう! なんて言われますが」

 小さいころからの夢だった、警察官になることとR30スカイラインに乗ること。その両方を実現した前田さん。奥さまをはじめ、ご家族やご近所の方からの愛情を受けながら、これからも2台のR30スカイラインは走り続けてくれることだろう。

運転する前田さん

12
  • 2台が車庫に収まるシーン
  • 2台のRSと前田さん
  • 2ドアのターボRS
  • 2ドアのリヤビュー
  • 2台揃ったR30スカイライン
  • ボディサイドのステッカー
  • 2ドアのインパネ
  • 最初に購入した4ドアのターボRS
  • 4ドアのリヤビュー
  • 4ドアのマフラー
  • 4ドアのオーバーホールしたエンジン
  • AT仕様のインパネ
  • ボディカバーをかけてしまうシーン
  • 運転する前田さん
  • 思い出を語る前田さん
  • 読みふけった専門誌
  • 石原プロの記念きっぷ
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